北町整形外科医院の公式ホームページ



 

  妄医閑話はノー・コンプライアンスの法螺話でございます

あらかじめもうしあげます
妄医閑話は
「ノー・コンプライアンスの駄文です。大方が法螺話でございます」
崇高な目的も、一貫したこころざしもない
耄碌爺がおろかな脳裏につれづれわきあがる妄念を書きつける
くるおしきものでございます
厳しき倫理観をお持ちの方、真面目な方がた
なにとぞお目こぼしくださいまし

・今までの私の生涯には晴れた日も曇った日もあった
・けれどもすべては自分のためになったのである
アンデルセン/デンマーク/童話作家


わたしが小学校の頃は、お月さんを"のんのさん"と呼んでました。そう呼んで普通に話が通じました
そのころのお使いの帰り道のことです。秋の日はつるべ落としと申します
どんどん日が暮れていく川越街道を朝霞から北町へと、とぼとぼ一人歩いておりました
川越街道で志木方向を見返れば、今の人にはわからないでしょう、狐火がチラチラみえました
背中に不安な気持ちが湧き上がる都度
右後ろをふりかえります。すると、お月さんがついてきてくれているのが分かります
夜になっても月夜はあたりが見渡せるくらい明るいのでした
 それに、なんたってお月さんがついてきてくれてるんだ心配ないヨって子ども心に感じられていたのです

  それから時が流れます。アームストロング船長が砂だらけの月面をはね歩き、星条旗をたてたのをテレビで見ました
あの時からかなあ、ああ月にはうさぎがいないんだなって・・・
 あの頃の子どもって、辛いことが結構あってね
そんな折々に、宙にのっと浮きながら見守ってくれているお月さんの明るさに随分心を慰められていたように思います
まるくやさしく明るい月の表面を見上げておりますと影の部分が浮かんでみえてきます
 きっと誰かが言ったからそう覚えたのでしょう。ウサギさんの餅つきがみえるのでした
 今よりもずっと、なにからなにまでの~んびりしていた頃のハナシです


<クリスマス話 リターン2021>
クリスマスに、にわとりを食べるのは日本とブラジルにあと一国くらいだってね。 アメリカ人だったら七面鳥です。ニワトリが七面鳥顔負けの大きさになったらどうでしょう。 一羽で5人家族の食いでがあるけど。鳥類は羽でおおわれているからね。だいぶ膨らんで見えるよ。 大きいやつだったら、柴犬とかプードルなんか顔負けの迫力だろうな。
そんなのが放し飼いになって道路をほっつき歩くようになったらそれだけでまず大問題。 中には凶暴で性格が悪い奴がでてくるから、お年寄りを追っかけまわし、突っつき、蹴とばすかもしれん。
そういう奴に限ってクリスマスに丸焼きの姿にされてテーブルの上に載ることもなく、食われないまま生き残っているんだね。 餌とトシばっかり喰ってやたらでっかくなる。要らない体力をもて余して普段は小屋の奥に引きこもってるだけ。 食う寝る、片っ端から雌鳥を犯しまくる。それ以外、ひがら1日こっちを睨んですごい。 飼い主もまさかこんな子になるなんてと嘆くばかり。大きくなるにつれ、ひねくれがひどく、扱いにくい性格が露骨に。 基本的に荒んでいるから、ひと目にも恐ろしげ。どうしたものやら、わからなくなる。二、三年もしたら変わってくれるかなあ、 なんて思っているうちにどんどんひどくなる。今どきの児童教育の引きこもり専門家は 「本人が気づくまで見守り、間違いに気づいてくれるまで待つのです」なんていう。そういう言い草にのって放っておいたのは間違い。 どんどん増長。鳥小屋のドアが容易にあけられない状態になにかしたらしい。日に何度か中から大音声で餌を要求する。 知らん顔しているばなおさら暴れ騒ぐ。 世間体が悪く、とにかく大人しくしてさえくれればと、おいしい餌を与えてしまうからなおさら横柄になっていく。 意を決して、今年こそ小屋から引っ張り出して、アメリカあたりに出荷してやる!なんて、ヘルメット、防護メガネに軍手姿で小屋に入り ・・・でもしたらもう大変なことになるね。 育ての親(っていってもホンモノの親ではなくて飼い主のことよ)に恩をかえすどころか家庭内(鶏小屋)暴力が二度、三度。ついに毎度となって 手が終えない凶暴さ。ケダモノになっちまったそいつに飼い主が、オマエを殺すがワシも死んでやる!とばかりにピカピカに砥いだ大鎌携えて 鶏小屋に決死の突入。 しかし、ここまでデカく悪く凶暴化したトリの返り討ちにされてしまう。流血の大騒ぎ。ここまできたらついに警察沙汰になるかも。 悩んで猟友会に相談したら、鶏でしょ、ニワトリ小屋なんかで発砲して皆の笑いものになりたくねえ。鶏くらい自分で〆な、と馬鹿にして笑われるばかり。 じゃ、来てみてって猟友会のおっさんを無理やり連れてきた。え―っなんだこりゃ。こんな怪物オレの鉄砲じゃとうてい太刀打ちならねえ。 仕留める前にこっちが危ねえ。こんなやつは北海道の熊撃ちに頼まんといけん、なんてなるな。 それで旭川の熊撃ちのクボタさんに依頼。はなからオレの鉄砲はな熊うちに使うのサ。ニワトリなんか相手にしないべサ。 馬鹿にするでね、と喧嘩になった。しかたなく噂に聞く秋田の熟練マタギに頼みこんだが。 ひとめみたマタギが後づさって、今までこんなの相手にしたことないべ、怪我させられねえうちにオラ帰る、って逃げてった。
飼い主が手をこまねいているうちに、やつが真っ赤なトサカをブルンブルンさせて小屋からいきなり走り出てきてハッと飛び上り 通りすがりのばーさんを蹴倒して骨折させる・・・ような事件も起きるかもしれません。
狂犬ならぬ、狂鶏ですな。イノシシや猿が出たーっていうより、とりさんがくるよーって言ったほうが怖いの。 夜ふかしばかりして、なかなか寝ない子どもに鳥さんがくるよーって言うとぱーっと布団入って寝ちゃう。
その凶暴鶏どうなったかってアンタ気になる?それがね、ちゃんと後日談を用意してあるの。
近所のヤマダさんの御長男のとこに7年前、南方の外国から嫁さん来てたの。 ナ-ヴァンナーさんとかいう名前でね。ちょっと知ってたけどそう付き合いもなかったの。 なんでも子ども七人で男四人に女三人。予定日ギリギリまで畑仕事してたってさ。いざ陣痛きたらさっと自宅にもどって安産だからさ。 来年の秋にもう一人産まれるって。こども家庭庁の三原大臣が聞いたら、涙流して喜ぶな。ヤマダさんち賑やかになって、おじいさんとおばあさん喜んでたと。 親戚のセツばーさんが児童手当なんか結構出るらしいよってうらやましがってた。 その嫁さん、三人目の子でお腹大きい時に、七反歩の畑をトラクターなしで4日で耕して。今年はそこで大根白菜人参にニラにじゃがいもはもちろん。 トウモロコシ200kgとキャッサバ芋に唐辛子、そうそうパクチーなんかも出荷してるって話さ。 ナ-ヴァンナーさん、好き嫌いなく何でも食べるって。2年前に野猿の害があったでしょ。あの年さ、 ヤマダさんとこのばーさん、サイトーさんの甥の役場の停年退職祝いの集まりで、何かの丸焼き持ってきたじゃない。 それみんなで食おうって。なんか小さなヒトのような手のひらがついるみたいで、なんじゃこりゃーっなんて皆言ったけど酒まわってたし 結構美味かったからさ、あっという間にごちそうさん。なんの肉って聞いてもばーさん、嫁さんが作ったんでなんだかわかんね、なんて。 後日ウチの子どもが、ヤマダさんとこの畑のあの柱の先に野猿のボスの頭がぶら下がってんの見たってね。その後は野猿なんか群れごと 寄り付かなくなったって。あれだけ被害を出していたイノシシも、嫁さんの匂いのする布下げておくだけでもう来なくなったって話。
ナ-ヴァンナーさん、今でも言葉はあまり通じないけど、すっげー働きもんだってね。いい人さ。
たまたま寄り合いで、ヤマダさんのじーさんにあの鶏にはホトホトこまってる。いらねえーって愚痴ったの。 そうしたら、翌朝息子さんの嫁さん来てさ。30分もしたら家に帰ってったさ。そんで夕方、鶏の精肉14.5kg持ってきてくれたの。 あれ?どうしたのあの凶暴鶏?って聞いたの。そうしたら嫁さん、「シメてクッた」。
そもそもチャボとか白色レグホンが、今くらいの大きさだから、卵とってきなさいと言われても平気なのだと思う。
それが4倍の大きさになってみなさい。目玉の大きさも4倍ですよ。 あのジュラシック・パークのティラノ様みたいなブツブツの赤い皮膚の裂け目がパチパチと瞬きするでっかい目ん玉。 輝く丸い光輪の中、あたりを写す真空の暗黒の瞳。これが無表情かつ恐しげで”悪いやつ”的視線を放つ。そんな目が睨む。 ボディも七面鳥みたいにカラフルになってくるんじゃない。 そんなガタイで恐ろしい面構えの上、鳥は表情が読みにくい。っていうか、素人目に怒っているのか笑っているのがわからないじゃないか。 そんな、何考えているかもわからんでっかい獰猛な鶏が巣に座り、じっとこっちを見てる。 奴の玉子に手を伸ばそうとした時、そんな目で睨まれたらオレ、すくんじゃうだろうなあ。 大体、おのれの卵をだよ、人間がかってに取ろうとしていたら、黙ってないよ。怒るわな。だからこの際すっごく攻撃的になると思うわけです。
そりゃあアメリカ人だったら、平気なんだろう。でっかい七面鳥の卵をとってきたりするのなんでもなさそう。 190センチ、120kgの大男のお父さんビルが、息子に「ティミー、七面鳥の卵とってきて」なんて言う。するとティミーが オーライなんて平気で武器も持たずにスタスタ行く。それも朝起きぬけのパジャマすがたで。それでいつものように麦わら帽子の中に卵を入れて かえってくるんだね。 しかし、七面鳥の中には卵取られたたら怒るやつもいるはずだ。
やたらでっかく育ってしまった雄鶏が、おれのオンナ(雌鳥のことですけど)の産んだ卵に手を出しやがって、なんて怒ったりするかもしれん。 ティミーを突っつき、飛びかかったりした日にゃ。怪我して泣いてかえってきたティミーを見てビルが怒る。トリのくせしやがって黙って食われていれば 良いものを、なんてビルの唇が歪む。 「オー・ティミー、可哀想に。なんてこった」なんて、ライフルに弾込めしつつ、玄関からのっしのっしと出て来る。 「こいつかオマエを怪我させたやつは」って言うな。ティミー泣いて頷く。次の瞬間、ズッドーン。すべて解決。朝からフライドチキン山盛り!
ビルじゃなくてブルース・ウィルスだったらばだ、ピストルぶっ放してるな多分。
ともかくだ、クリスマスに鶏がだ。 昔、本で見たドードー鳥とかキウイーみたいな思いもかけないような巨鳥だったら、もうかなわない。 ダチョウだったら、結構テレビとか見て知ってるからね。攻撃受けたら首を、こう両手でしめる。ギュッと。 頑張って離さない限り大丈夫な気がする。 最低目や、ほっぺたを突っつかれて血がでるようなことだけは避けられるような感じがする。 しかし、油断したら蹴られておおけがするな。ダチョウは食わないようにしよう。
一方、フランスでは鳩なんか結構食べるらしい。 と言っても 公園にいるやつを網で捕ってきて食うんではないでしょうな、絶対に。食用の鳩を作ってのことに違いない。 エスカルゴもそうだよな。 医院の庭木の葉っぱの上をのーっとベタッと、時にはコンクリート塀に重力を無視したように斜め上に、 粘りけの跡つけて 登っていくようなでんでんむしではなくて、高級レタスで育てた良い育ちのカタツムリを食べるのだろうから。
クリスマスには鶏のももの焼いたの、リボンついて、照り焼きの普通のやつ、食べるのがいいね。

 
北町中学校の敷地は真四角。東の校門から真西の裏門のむこうまでがよく見通せたのでした。
校庭で体操をしていると裏門から早引けしていく生徒と親が見えることがあった。
北の辺に田柄川が流れている。この川はしばしば台風で氾濫した。その都度、学校が休みになったり半ドンになるのがうれしかった。
中野先生 「ハイ。つづけてぇ! えー・びー・しー・・でー・いー・えふ・じー、です」
中野先生 「はーい、えー!」         生徒 「ゑー !」
     「違います、えー!でっす」     生徒 「ゑー !」
     「何度言ったらわかるんすか。えー!です」 生徒 「えー」
「びー」、「ビー」。しー」、「シー」。
「ハイ!でー」です。  「はい デ-」・・・・。
中野先生 「できましたね。“でー“は王貞治さんのリポビタンDで有名ざんすからね。
私はアメリカ軍で英会話していました。私ぐらい英会話がうまくなってくると早口言葉が上手です」
中野先生 「早口言葉ができないと英会話がうまくなりません。
い~ですね?ハイ!うりうりがうりうりにきてうりうりのこしうりうりかえるうりうりのこえって、言えるですネ。 すごいでしょ、あんたやってみなさい」
生徒「うちうりが・・・・」
早口ができないから英語がうまく話せないのだナ、と納得していたのでした。
中学校の英語の中野先生の授業はこのようにABCを皆で唱和して始まって終わっていたのでした。
アルファベットですから難しいことはまったくない。いつもいつもABCしなくてもいいのに決まっているのですが、 まずは中野先生を満足させなければいけません。誰も彼もが英語の授業の始まりと終わりにABCからXYZまで声出して唱和していました。 そういう中野先生に対するみんなの配慮があって、先生の英語の授業は毎度穏便に済んだのでした。
そのかわり、よそ見したり、横の生徒を突っついたり、指のささくれ見つめてぼんやりしていたり、 櫛で髪を梳かしていたりしていてもまったく怒られることがなく、気乗りしなくてもなんとなく唱和さえしていればただしく授業が終了したのです。
そのような授業を受けた生徒たちは卒業しそれぞれの進路に向かって社会に出ていったのです。
卒業後ワタシはひょんなことで進学校に進めました。高校の英語の授業の初っ端、ワタシを除くみんながDをディーと発音することに気づきました。
あれ?“でー”じゃねーのと思ったワタシ。先生の発音の間違いを指摘して、クラスのみんなのハナをあかしたい、歓心を得たいと思った。
しかし、辞典で有名な国文学者さんのお孫さんがいたり、多くの文化人、政治家を輩出した学校だ。 だいたい北中なんかの英語の授業の程度は低く、いい加減なのであって、この高校の授業の方が程度が高く正しいことに思い当たったのです。
次第に間違った発音を教えられていたのではないかという疑念があたまをもたげたのでした。
そして、(足りない北中出のアタマで一生懸命)よーく考えぬいた結果、中野のやつが嘘を教えやがったことに気づいたのでした。
もしも“でー”じゃねーのなんてあほな北中出のワタシが 将来東大を約束された優等生の面前で、 さも得意げにえらそうに言い放っていたならば、オレの馬鹿は丸出しだったにちがいない。
自尊心はズッタズタ、恥ずかしさに劣等感に深く傷ついたのだった。
以後、そうした悪い方の状況が生々しい映像として脳裏にわきあがるたびに、おれはうめき、嘆息をくり返した。
突然やり場のない恥と怒りの感情がこみ上げ、沸点に達した感情が暴力的になり、 いきなりそこいらの塀などを殴ってはげんこつの皮が剥けて、たいそう痛かった。 そういうこともあって、中学まで天真爛漫だったワタシは思春期とともに引っ込み思案になってしまったのだった。
 北中の2年の夏は日照りで水不足で、どういうわけか朝霞のアメリカ軍の給水車が中学の校庭に昼休みに来た。
近所の人が水をもらいに集まってきた。うちとか近所の古い家には井戸があったから水不足なんか感じなかったが、 アメリカ人が来るという噂で興味津々。バケツなんか持ってたくさんあつまった。サンキューとかハローとか遠巻きにして アメリカ人と視線が合わないようにしながら、とにかく知っている英会話を一方的に発した。 ワタシもガイジンとなにか話したい!会話して皆と差をつけたいぞと思った。 集まった人たちは初めてガイジン見て興奮の極地。 アメリカ人の周りを取り囲んでワイワイ。最初は黙って我慢のスマイルしてたガイジンがどういうわけだろう、 皆の方に向かうとなんか喋りはじめた。皆いっせいに引き下がった。大方がイエース、 イエースとかの単語をつぶやきながら視線をそらして後ずさった。 なに?なんと言ってるんだ?エイゴだからわかんねえ。 え?誰か英語できるヤツいないのか?
大騒ぎになった。そのうち、そうだ英語の中野先生だ!という声が聞こえた。それでだれかすぐに中野先生を呼んでこいということになった。 皆がそうだ中野先生しかいない!と先生に期待した。校庭のみんなが一斉に南の職員室の窓を見つめた。 中野先生!と何度も呼んだ。 しかし、中野先生は職員室にいなかった。
だれともなく校庭の左端に目をやると、中学校の裏門から先に続く道の中程をあっちへ急ぐ人が見えた。
いつもの白いシャツ、短く刈り込んだ白髪で、間違いない中野先生だった。 その姿が小走りにあっち方向に小さくなって行くのをみんなで ポカーンと見送っていた。

 

相撲、九州場所。御当地の大きな声援の中、平戸海と美ノ海が今ひとつ元気がなくて残念だった
千秋楽の24日の結びの一番は大関・琴櫻に豊昇龍。立ち会ってマワシを取り合うがお互いなかなか得意の形にならない。 マワシをとりあうこと数秒経過して、ちょっと急いだか 豊昇龍今場所3回負けがなかった必勝の、右かいなで琴櫻の左上腕を抱え込こんでの強引な左への投げ。これで決まれよとおもったところ、琴桜 が右片足の右回りケンケン二回でバランス復活して右手で突き返したのをまともに胸でうけた豊昇龍、右膝がガクッと崩れた。 次の瞬間土俵にうつ伏せになった豊昇龍。白いマウスピースがちらっと見えるほど歯ぎしりの悔し顔。 琴桜が大関・豊昇龍と相星決戦をはたきこみで制した。14勝1敗の成績、初優勝を果たしましたのであります
さて、相撲中継のみどころがたくさん。関取だけではありません。行司に呼び出し、勝負審判に親方衆に観覧客ともりだくさん
投げられた関取が行司を巻き込んで、土俵下へ転落したあとの始終も良いものですが
大きな関取が吹っ飛んで行司を巻き込んだばかりではなく、落ちたさきが土俵下の親方審判に直撃するのも見どころ。 苦痛でうめく親方の顔に起き上がれるがどうかの一幕がワクワクもの。そばで、スンマセンと 謝る関取の顔つきなんかもいいね。そしてもんどり打って転がってった行司の苦悶の表情、歩きようなんかゾクゾクいたしますね
今場所は中日で御嶽海が土俵下へ転落後左肩と腰を強打し、担架で運び出されましたが、贔屓力士なので心配になりました
こういうアクシデンタルな模様はそうそう見れるものではありませんが、見れたらラッキー。あらかじめ全試合を 予約録画しておくべきです。あとになって何回か繰り返しみて鑑賞しましょう。できれば話のネタに・・・なんてどんどん落ちていくなあこのへんで やめとこ
やっぱり、とっつき一番は綺麗どころです!今場所、いないとは言わない。が、名古屋場所には劣るか。やはり蔵前のほうが多いのではとか。 これ見どころですよ
それ以外に・・・数年前まで正面砂かぶりの第一、二段で画面左の赤房下か中央に大村崑さんとかヨネスケさんがいらっしゃいました。 左っかたにイエス高須先生。少し高いところの左か右に元NHKの解説員さんの四角いお顔。見慣れた御常連さんです
和服の綺麗どころにも期待しますね。さーて、今場所はどうでしょうか・・・居ます?みなさん
向正面の一段目の真ん中近くと、二段目か三段目の左通路近くに御着物のそうとう熟されているお方が三人おられる ・・・お着物は金襴豪華、白は絹のしろ、赤は紅、漆黒の黒で、相当高価な貴重品とお見受けいたします。さて中身。 かつては大変な綺麗どころだったのでしょう・・・違いありません多少お年をめされてそれは十九、二十歳に華やかさは及ばないものの
そうはいわれても、まったくかつてそうであったとしてもだナ、今となってはだな、こうまでなっるのかってあんた、思ってるって
吉野ケ里遺跡かポンペイ遺跡ならまだしもかつての美を思い浮かべる術があれ、 ここまでの風化で、様子もそうとうお変わりか。 變化、様変わりというよりも廃頽なのか遺跡というのか遺物なのか、脱皮後の形態というでもなく、 かつての栄華も廃れるのがならい・・・しきそくぜくうくうそくぜしきを詠歎するのです
ともかくお次のみどころは、と
観覧席の二段目をじっくり見ましょう。どっかの顔役さんですか?風のおじさんたちが腕くんで無表情でこっち見てます
このお方たちのみどころは格好、着物だけではありません。確かに派手な色のシャツに、お扇子、金の首輪にブレスなども見どころですけど
何と言っても重点を置くべきは髪型。もう、詳しくは言わん。おじさんには見てすぐわかる二通りがある。光っとるか光ってないかだ。 光っている場合は輝度とツヤ、シミの形状と場所、加えて眉毛のフサフサ度が鑑賞ポイントになります。 上級者になると、手入れ具合、メンテの苦労を想起させられますので総合的な趣に目を奪われます。 光っていない場合。まず髪型です。それ以前にイミテーションの髪かどうか。鑑別が必要です。 あなたなりに真偽を審議してイエスかノーのお答えに達しました時点で、隣の家内にオイオイこれ見よと指示して判断をあおぎます。 二人同時に偽頭(ニセアタマ)の判定に達し、それは全体か部分なのかを吟味。ついで生え際の処理具合から値段の高低の審議に移ります。 こういうの、なんだか知らんが結構楽しい
それでは次は、髪型ですね。端的に一番興味深いものから紹介したいと思います。 髪型の中でも、片側の耳介の上から頭頂を越え、向こうの耳まで長さがやっとこさっとこ足りる程度の長さの場合が一番みていて感じ深い。 普段人前ではきっちり1-9割に固められておる。多少の風圧くらいでは断固と揺るがぬ。こんなに人工的に固められた髪型には一層の趣をこえ むしろ尊敬の念まで湧いてまいります。
指先にどれくらいの圧力をかけて洗髪されるのであろうか。 毛根に負担がかからないマッサージはどのようにするのであろうか。シャンプー後はどうケアするのか。ただ乾かせば良いってんで ドライヤーをバーバーかけたりは絶対しないであろう。 養毛剤は何十種類お持ちで、いくつお試しされただろう。その効果を界隈でもっとも詳しくお知りなのではなかろうか? 発毛剤はいくつ?それで何本の発毛があったのでしょうか。
養毛剤と発毛剤のボトルはオクサマのシャンプーとリンスのボトルと仲良く並んで置かれてあるのでしょうか。 それともお風呂のドアを開けた外の左っかわの薄暗く薄汚れた 冷たいビニタイルの上に無惨にも追いやられ、挙げ句に洗濯洗剤なんかと一緒くた、雑然と置かれてあったために間違えて ハミングとかブリーチで洗髪してしまってたりして取り返しがつかないくらいの脱毛が何度ありましたでしょうか
野次馬的にしりたいなー
シャンプーとトリートメントはお風呂に何本持ち込むのでしょうか。 そうだ、ご旅行の時は携えて行くのはどれ?寝ている間は何を被って頭皮を保護されているのでしょう
寝るときのアタマの方位は気になさってますか? などなど余計な心配をして差し上げるのもよし。 さぞかし大変であろう朝のセットの苦労を偲びおのずから湧き上がる薄笑いにこらえきれず わがころも手も涙で濡らしつつ、鑑賞いたしますのじゃ
この人は、日ごろの悩みよりも毎朝の毛量の減り具合に心を痛めているにちがいないとか。 他人の横からの視線に敏感だろうとか。地震や台風、ときには竜巻接近なんかより 天変地異から多少の事件より、一本のおのれの落毛の方が気がかりなのです。 朝には意を決し、いままさに目にせん現実にこころ打ち砕かれぬよう 相当の覚悟をされては鏡の前にお立ちになるというその勇気。 そこまで思いをいたすワタシとしてはやはりわらい涙がおのずといでくるのであります
加えるに。昨日の食事の刺激物の多寡と種類、睡眠時間にシャンプー・リンスの刺激度、頭皮に吹く風の湿度と風力。 本日の会議の座席の位置関係から室内カメラの設置場所も気にされているにちがいない。 こんな不安を毎日毎日押し殺して生きてこられたその人生
小中学校は良かった。高校生でやや額ひろまる。大学でた時にはすでに全体的に前頭部が秀で、輝きも帯び始めた。 変化に気づき、心に傷をもって社会に出られ、時のたつママかつてのみどりなす黒髪の半量を失うころ御結婚。 以来子育て、同輩に追い越され、親の介護をさせられてのああ人生行路!
意を決し現状をしっかり受け入れるまでにどれくらいの時間がかかったのか。想像するだに尊崇の念に駆られるではありませんか
その上で、今の毛をいくらかでも見た目以上に多めに確保していきたい。それだけを純粋に希求されていると・・・
このようにご想像申し上げるのも一興

さーてここで朝のルーチンワークを妄想いたしましょう
まず右耳脇で髪の根本をしっかと押さえ落ち着けるのです。 そのために毛の元をこめかみの皮膚に左手の人差し指と中指で押し当て仮固定。次に右の人差し指と中指で毛束を右側方へまっすぐ伸ばす、のだと思う。 このとき余計な力学的ストレスがかかるとイケマセン。一本も抜けないように神経を使うんでしょうナ、多分
そっから左人差し指と中指で右耳の脇で髪束(短冊状の)を押しつけたまま、右の人差し指と中指で軽く髪の先端までしごき一旦停止。 右肘は120度屈曲位のまま、右肩を内旋させつつ右上腕全体を左方向にさっとぶん回す。 右の示指と中指と左耳介の直上でこめかみの皮膚と接するんだ、これが。このまま左指腹で髪束の 先端を耳介上部でしっかり把持しつつ、自由になった右手で、かねて信頼厚い粘度十分と信じるヘアスプレーで、髪束に吹きつける。 スプレーしたら、押さえていた左指腹で右耳上からツツーっと左耳介上まで撫で、頭皮に密着させる。
そのあと鏡でポジションを確認し、櫛で二回ほど右耳上から左耳介まで円周を描きつつの、頭皮にイケナイ刺激を与えぬようだが、少しは発毛刺激を 与えながら櫛入れするんだろなー、なんて面白い想像などに身を任せ楽しみましょう
・・・他にはですなー。たくさんありすぎるけど(独り髪型に多くを費やしたから、話をはしょって)
ところどころで、弁当に夢中のオクサマ、お茶屋さんの袋の中に見入っているお方の仕草なども鑑賞いたしましょう。 真っ赤なTシャツのメタボさん。相撲見ないで携帯見てる人。花道際に運が良ければどっかの良いところ風のお嬢さんがモジモジするかたち。  通路際にかつての関脇、大関の親方がブルーのお仕着せで警備・販売・切符きりなどのお仕事されています。  通路の出入り口でストレッチする琴櫻、おつきに背中をバンバン叩いてもらう豊昇龍なんかもみどころ

第二に力士そのもの。 現在ワタシが個人的に興味をもっているのが、ええい!きたねえ話になるけどごめんなさいよ
どのケツが一番きたねえかってことでございますわ。ハイハイ、ワタシはその程度の男ですごめんなさいよ
えー、今のところ栃ノ心これがトップだったね。左のケツに切手サイズの四角い絆創膏みたいの、凸凹ぶつぶつの厚くて硬そうな皮膚の上に貼ってある。 膿がでてるのか?鍼をうったあとなのか?。これに比べ遠藤なんかホント、枕にしたいくらいキレイだね。え?それくらいにしろって?ワカリマシタ。 いずれ又このあたり、きちんと話すからね。
ダラダラ相撲の話ですけど、今良いなと思っているのが若元春です。 今場所中日から先、上位と対戦でポロッと負けたりしましたが、相撲内容は立派。今後強くなるなあと期待すること多大
若元春・若隆景・若隆元は三兄弟の力士で、毛利元就の三人の兄弟の名にあやかっているようです。 それにしてもお父さん男の子が三人生まれるとわかっていたのでしょうか。すごいな。三兄弟はいずれも良い相撲をします
しかし、皆さん若隆景って言いにくいでしょう?言いやすくする方法があるの。うちの医院では言うな!口外するな!バカ!とか罵られますが、 ワタシ、あえてここで発表いたします。ワカタカカゲを呼びやすくするマル秘の方法。その一。ワカタカまでは言いやすいがそのあとのカゲが 発音しにくい。これを言いやすくするに、カゲをハゲにするのです。ワカタカ・ハゲです。言いやすいでしょ。もっとばっと言いやすいのは 「わかったかハゲ!」と言うことです。第三に口に出して言いやすいのが「バカ・タカカゲ」です。二、三回怒鳴ってみてください。 誰も気づきませんことでしょう。えっ?違うって。なにが、どうしておれの何が悪いんだ?真面目な方々本当にごめんなさいよ。 この話、うがいして手を洗って、忘れてくださいまし。しかしこのテのハナシ嫌いではないからまたいずれ
いい足りないと思っているのが乳首のハナシでね
 大の里はコンパスで直径8センチできちんと描いたような乳首ね
 豊昇龍はなんと乳首の突起がちょこなん、乳暈は小さめ
遠藤を標準としてだな、なんたって上むいているのが琴櫻だけ
 今場所休場の照ノ富士の場合。昔の桐ダンスの金具みたいな感じですね
こういうの良くないかなと思い始めたので・・・
 しっかし、このハナシも嫌いではないからまたね


さーて。これから・・・自分でも随分といけないなーって、分かるけど・・・
 あらかじめ・・・・公序良俗に反するようなハナシ・・・だからね
下の行みてちらっと見える?それ関係のハナシ
 聞き捨てならん!気になる方にごめんなさい、お見捨てください
《注意警告》
【以下、煩悩まみれの耄碌オヤジが無神経に 毛髪関係に触れ無駄をいいます!毛髪のハナシは不愉快だ!やめろっていう方、これから先お気に召さないお話になると思うので 文句言うくらいなら絶対読まないようお願いいたします】
さーて・・・
養毛剤ってあるでしょ。あれ、ウスラハゲの人が使いたいんだよね、まず。そう思う
 効果があるならなおさら使いたい。たとえ一万円でも買いたい・・・だろうと思う
だいたい風呂から上がってふりかける。家族の目に触れることを恐れ、気にしながら。もし奥さんの足音でも近くで聴こえようものなら 瓶をさっと体で隠す。指で瓶のクチを塞いでね。蓋してないとこぼれるとやだもん。もったいない
 それはまるでテロリストがホテルの小部屋の暗がりで爆弾つくったり、武器を点検しているときのような目つきでだな、多分。って わかってんのかオマエ!って言われたら、オレすいませんっていうぞ。ま、これはさておき
 ハナシを元のウスラハゲと養毛剤にもどーす!
でも強い薬ですよ、副作用があってな、人によっては脱毛するかも知れんって書いてあったら二の足を踏むでしょな
しかーし、すでにツルッパゲになっていたらばだ。何だそんなもん、何が怖いモノかって感じでバンバンふりかけてみせてくれるかもしれない
この場合、家族の前だろうが、家の玄関を出て郵便ポストの前で隣の奥さんと目があって、おはようございますって言われながらでも 平気なんだろうな。ああ、おはようございますなんて挨拶返しながら、ジャブって頭皮にかけるが、大方が表面で弾かれ左右前後に垂れるナ、 そこをもったいないって、瓶を持った手と持ってない方の手で耳の上辺りで流れをせきとめるね。だから効能がホントあった場合に 眉と耳の周りがフッサフサ。そういう感じの方見たことありますよねえって、同意を迫られても困りますってアンタ。 ここまで来てオレ関係ないよーっていう?じゃ、これ以上読まないでよ
 ハナシをまたもどーす
 つるっぱげは養毛剤を今更なんだ!と無視するでしょう
ところが、これこそ養毛剤などと云うようなそもそも生易しいモノではアリマセン。正真正銘、ホンモノの発毛剤なんですョ旦那さん。 ハ・ツ・モ・ウ剤なんですョって、通販の社長さん並みに言葉巧みに薦められたとしたらどうだ
この時、薦めているやつが試しに一滴腕に垂らしてみせて、布でさっと覆ってそれをとったら・・・なんとそこにボッと毛が生えてる!のを見せられたら、どうなんでしょ
 それ、蝦蟇の油売りと同じケチな手口と口上で
追い打ちに類科学的に
毛根があるうちに必要不可欠なのが養毛デス。それで毛根がなくなってしまった後の状態には発毛デスって言われたら相当納得してしまうに違いない
追い打ちかけて、サイエンスもどきに
稲作で稲に元気がないとか、収穫が少ない場合、肥料とか病害虫退治ですよね
しかし、荒れ地でなーにも生えていないツルッツルの土地だったら、耕作と田植えからやらないとイケマセンなんて決め打ちを聞かされたら
 ってわけで発毛剤に散財を惜しまない旦那さんも少なからずでてくるのであろう
この旦那さんだけど、自分だけふりかけていてもちょっと不安。だから、まあ同僚に"似たアタマ具合"の方に、これ効くゼ試してみな ちょっと分けてあげるーなんて親切言って実はそれから1ヶ月間じーっとそいつのアタマ具合を真剣に観察していたりするんだろうな

・・・って一体オレなんのハナシしてたんだっけな、意味ネーハナシだったなあモウやめよう
 そうそう、健康食品と薬の違いであった
 効果があるかどうか、そうなるともともと効果が保証されているが副作用もありますよって"文献"に書いてあるのが薬です、これは間違いなし
 健康食品は、効果があるかどうか。あくまでも個人の意見ですって"チラシとか通販の画面"で見える。副作用なんか書いてないですからちょっと試しちゃおう
 自分のカラダでなんかあったらやばいから、もうあまり先がない親に試してもらって・・・なんてことで 親にプレゼントして親孝行だと言われてる娘も居たりして・・・いませんって?探してみないとわからんそんなモン
 ああー不毛だなあこんなアホ書きまくって・・・虚しい・・・けれどこのテのハナシきらいじゃないからナ、またすっかもネ
 今日はここまで 全体的にアンダーコンストラクション


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  先月ワタシ4泊5日入院で胆嚢摘出術を受けてまいりました
 かねてより”健診で胆石を指摘されていたから”と包み隠さず、皆様に公表してきました

いつします?
そうですね夏休みが良いです
病院の方も夏休みになるのできればその後にどうですか
ワタシはワタシの医院が夏休みの間が良いのですが
 病院は夏休み体制だって言ったでしょ!
わかります・・・じゃいつが・・・いいでショ?
 9月9日入院9月13日退院なんかどうです
ワタシ(表には出さず心のなかで)九の九つまりキュウキュウ入院、えっなんだそれに13日って金曜じゃん
オレ、カトリックじゃないけど後で何かあったらそう思うぞ、と必死になって
 先生、どうでしょ、9月8日日曜入院で、9月12日退院で・・・お願いします
で、そうなったんだね
結局、9月8日は秋場所初日だったけどこの週が連日35度だったからね
炎熱酷暑の中で胆石抱え鬱々、貧しい診療していてもしかたなし
 いっそ入院しようと
後から考えたらこの日取りは良かったと思います

それでだ、退院して半月もしてだ
ひさびさに顔をあわせた患者さんが
「たいへんだったでしょ~」「いたかったでしょ~」って明らかに唇に笑みうかべて!
 なんだかワタシが胆石発作でウンウン唸って苦しんで死にそうになって
救急車で運ばれ、緊急手術!のようなストーリーになっとるではないか・・・
そうじゃなくて「か・ね・てから」
そう、前々から三年前から、健診で胆石があるって知ってたわけですょ
 良い?胆石があることは、わかってたの
で、まーシゴトが暇な時を選んで・・・いい?どーしよーもなくなってからじゃなくて・・・
だからそうじゃなくて、胆石の痛みで転げ回ってとか、死にそうになってからじゃないの!
 計画的に都合が良いときに、胆嚢とったのヨ、わかってます?
これ散々言ってきたデショ
それなのに・・・久々にこられた患者さん
 「たんせき、たいへんだったでしょ~・いたかったでしょ~」
そう言って来られる
なんだかオレが苦しんでほしいのか、イッソ死んじまったほうが良いのか・・・
しまいにゃヒネクレるゾ
しかし、まあそうだよな~。
オレだって、医局時代に先輩が入院手術されるなんて聞かされた日には
 なんか嬉しくって、面白くって・・・心躍る気持ちがおされられなかったヨ
ああ、人生ブーメラン現象
気をつけなくっちゃと思っても、オレ、もう遅いかなあ

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ある日の夕方。ここ、とある整形外科医院。
先生、顔が腫れた患者さんが来られました。
なに、すぐにお通しして。
 ・・・
どこが悪いのですか?
 ここんとこ
顔面全体ですね?
 いえ、ここだけ・・・なんですけど
うーん、ひどく歪んどる。そうとうな顔面骨の変形だなあ、頬骨と前頭骨だけではなく、上顎骨まで粉砕骨折を起こしたようだ。 早く来ないと。
こんなに内出血が溜まって、皮膚の腫脹が激しいではないか。
挫創はないが、相当強く打撲したのだろうな。右上唇が2センチ厚に膨れ上がっとる。 ここから右犬歯が口唇外部に露出。これに対して左は下唇が腫れ上がり、変色した舌がでている。
唾涎止まらず。神経もやられたか!
 どうです口をあけて締めてみて、
 こうですか
ひどい!口がちゃんと閉まらんではないか。
顎関節は、と。左上下の顎関節の脱臼でも有るのか?
 眼球は強膜が白いので、直接外傷所見はないようだ。 しかし、右眼瞼は相当肥厚し、赤紫色に変色しとる。左眼瞼は右の眼烈より7mm下垂している。
ってことは左眼窩底骨折も有るのか?
 どうだ目を開け締めしてみなさい
 こうですか、パチパチ。
うーん、よかったな視力は損なわれてない。顔面神経も大丈夫そうだ。 顔面外部の皮膚の損傷が一見少なそうだが、概ね顔面全体の複雑骨折は間違いない。
ここんところ押すと痛むか?
 いいえ痛みません。
痛まない、とな?そうなると三叉神経が経路の何処かで切れたのか?
 ここは、押しても痛まないか、感覚は大丈夫か?
 はい、大丈夫です。感覚もありますけど。
そうかよかったなあ、こんな重度の顔面骨折で、顔面の左右均衡異常と顎骨の複雑骨折変形に、左頬骨と眼窩底骨折が有るというのに。
他にどこか?
 いえ、ありません、ただ・・・・
そうか、頭部を強打したんだ。脳震盪を起こして感覚が麻痺しとるのでしょう。 いずれここでは手に負えません。大病院の脳神経外科、いや頭頸部外科に形成外科に神経内科に 耳鼻科に歯科とついでに犬猫病院にも至急、紹介状を書いてやるからな。頑張れ!
 先生、ちょっとさっきからなにをブツブツ言ってんすか。
この人、怪我したなんて誰が言いました? 
一昨日左頬を蚊に刺されて、なにかいい軟膏なんかあったらくださいって来たんす。
 じゃこの人、怪我してないのに・・・そんなお顔なんすか?
 そうです、ずっとこんなかおでいきていたんデスぅ?・・・ってか! もういかんわ

 ワタクシことですが、大鍋で10人分のカレーライス作りに挑んで失敗
 製造責任上ひとり大盛り3皿ほど食べた残りはもう食べられません、捨てざるをえなくなり・・・むむむ
 というのも、冷凍庫の奥に使い残しの肉を偶然見つけ、カレーにすれば食えるよナなんて気軽に考えたせいだ、多分
 そうはいっても、ベジタブルカレーやダルカレーなんか肉無しで結構美味しいもんなとおもへばかなし夏の宵
 ワタシのようなものは性懲りもなくその次のつぎの日には、そんなこたぁ綺麗さっぱり忘れてしまうのです
 二三日したら、もうご近所のカレーのにおいにつられ、カレー用の角切り肉を買いにライフへと走ったのです
 最近買った小型電気圧力鍋をつかいたい気持ちもあった
 それは8月8日
じゃがいも、玉ねぎ、人参をザクザク切る、くだんの豚肉、にんにくに生姜を電気圧力鍋へほうりこむ
 説明書の通り水200mlを入れ、蓋閉める・煮る・圧力かける10分!
 圧力が下がって赤いピンが下がったのを確認して蓋を開ける
 ゴールデンカレー辛口とZEPPINのひとかけづつとさらに水を200ml加えて煮た
  思いつきで、インディアガラム・マサラとクミンシードとコリアンダーも一匙づつ加えた
スパイシーになれー!すぱいしーになってお願い!
気合いを入れて木杓子で鍋を混ぜまぜ・・・それで、出来上がった
・・・普通カレーというものは、とくに腹が減ったヒトでなくてもだ、たとえ昨日手術を受けた胃腸系の病人だったとしてもだ多分、  香りと一口目が「ゥ、うまい!」はず
 だが、そうならんではないか! 別に食えないとかまずいとかのレベルの話ではない
 あっカレーだおいしー!かどうかだが、そうなっておらんじゃないか!   学生時代の学食のカレーを思い出した
 まっすぐ安全方向、万人受けいってんばりの味だった 
 あんなにスパイス使ったのに、どうして こんなにノースパイシーにできるの、アンタ?
 生協カレーの何倍も材料費がかかってんだ、どうして?
 これからのワタシは一体どうしてカレーを作ったらいいのだ?
いっそうオレは今後作らん、レトルトにするか・・・
 そんなこんな、思いつめた・・・
 8月13日の事
家人も圧力鍋でシーフードカレーを作るっていい出した
 レシピに従い、シーフードと野菜を入れて圧力アンド煮込んだ
最後にゴールデンを入れました、と
 ・・・結果的に、シチューでもないポトフでもない
でも相当そっち方向の味でした
 結局、物足りない味なのさ
 いわば入院食の"煮物"
安全だが「美味!」の位置に届かない
しかも、エビ・イカの良くない方の香りがスパイスで消えるどころか、かえって強調されて)
 ・・・
 むかし、ヒデキが薦めたりんごとはちみつとろ~りとけてるヤツが懐かしい
キャンプ場、山の斜面、時にはスキー場やら海辺に、なんと柔道部室ででも
   テキトーな奴らが、ふざけていい加減に作ったのでもだ。そこそこ感激の美味しさだったんだけどー
 ・・・今後のカレー作りについては、さらなる検討がひつようだととおもっとります、はい

カトリックの病院に勤めたことがありました。
病院敷地内に教会とシスターのお住まいが、深く清涼な森のなかに隠れるようにありました。
 親父(オトウサンなどと呼ばわると、どうもオレの父親の生の風味が薄れます)が第二次世界大戦のおり、 二回目の召集で烈師団の輜重部隊軍曹としてインパール作戦に従軍。右腕にイギリス軍の機関銃で貫通銃創を負ったそうです。
親父がビルマで終戦を迎え、復員してすぐにマラリアと アメーバ赤痢の重症患者となり当時の陸軍第一病院に入院。 その際の主治医が富田先生と言う東大の先生だったという。これは昔の話。
しかし、今思えばこれがその病院とワタシの因縁の始まりであり、おわりでもありました。
それから相当の時間が流れて
ワタシが遅まきながら医学博士をいただいた後、ぶらぶら過ごしておりました。そこに何かのご縁があったのでしょう。
親父がなにか思いついたように、お前医者なんだろ、暇だったら富田先生のところで働いて恩返ししてこいなどといいだしたのでございます。
この親父、戦争で負けて無条件降伏したの?・・・などとからかうと、おれは花輪連隊長の命令で銃をおいたのであって、 イギリス軍などに降伏したことはないと94歳で死ぬまでいっておりました。
ワタシが小学四年のときでした。母親が物干し竿にふんどしが翻っているのはうちだけじゃないか、恥ずかしい!パンツにしなさい。 嫌だオレはパンツなど履けるか!という第二次家庭内ふんどし闘争を闘ったものの、結局は無条件降伏を余儀なくされました。 そういう親父から聞けば、日曜でも祝日でも先生が毎日診察に来て励ましてくれたことをことのほか感謝していたのでした。
この恩人の先生がカトリック病院にお勤めされていたという。確かにこれは事実でした。
それで、ワタシはその病院で働くことになった。
しかし、親父が云うところの富田先生は随分前にゴルフ中に心臓発作で・・・銅像になっておられました。
それでもワタシはその病院で働くことにした。
その病院、敷地内にヨーロッパで見るような、そこらへんでは絶対見れないような規模と雰囲気の、 一切合切全体がほんまもんのきりすと教会があった。
ワタシはその病院で働きはじめました。
勤めて一ヶ月もしないうちにワタシは気づきました。この教会の地下のホールの奥に艷やかでシックな高級木の広い壇があるのですが、 その上に、大きな炊飯器が置かれていることに。中にほっかほかのご飯が満ち、魅惑の香りがかもしだされておりました。
脇に百人分はあるかという数の木の箸とどんぶりさえ用意されているではありませんか。さらに、新鮮そうな生卵が大きな木籠に山と積まれてあったのです。 そのうえ大鍋の中には日替わりの味噌汁までもおいてあったではありませんか。
食って良いものなの?だっれのかな~?
黙って食ったらしかられるかな~とかおもった。
けれども、すぐに一人分くらい食ったって分からんだろう、わからんにきまってる。 見つかったらそのときはそのときでぃ。なんか文句言ってきたらばだ、卵かけご飯代くらい即金で払ってやるワぃ。 などと、自分勝手で傲慢不遜な短絡点にいとも簡単に達し・・・ワタシの心の中の善人は内なる悪魔にいとも簡単に押しのけられていったのです。
さながら銀の燭台を前にしたジャン・バルジャン

ついにワタシは悪魔のしもべ!
今思えばワタシのせいではなかった、悪魔のそそのかしだったんだね。
最初は遠慮がちに、三回目からは当たり前のように。エブリデイ、朝もはよから卵かけ大盛りご飯を頂き、 平然と医局へ上がっていったものです。
そこではまあ、普通にシゴトしていました。
そんなある日の昼下がり。顔見知りのシスタがドアを叩いてワタシの部屋を訪れました。
それは嬉しそうなお顔で 「クリスマスのカードでございます。 みなで一所懸命にお作りしたものです」と言ってカードと何やら布切れを大事そうに手にとってお渡しになる。
「あ、どうもありがとうございます」ワタシは受け取りました。それで、机に向かった。
シスタがすぐに部屋から出ていった、ものとその時は思っていた。
そのカードと布切れを見たら、ありがちなマリヤ様の絵柄の クリスマスカード(モノホンの写真はないですヨ、歴史的に)と 布切れはイエス・キリスト の赤ん坊(人形です。生体ではないです、念のため)を包んであった。
ワタシ、とくに宗教ないから、ああ、こういったもんね。と思って。右手から左手に持ち替え、机の左下のくずかごにポンと捨てたのね。
それで、机に向かいなおして2、3分たったころかなあ。背中になんらかの気配を感じるのネ。
 振り返ってみるとシスタがお立ちになってんの。
「えーっ」と思って、頭の中に電気が走ったね。ワタシは椅子ごと右へターンして振り向くとすぐ机の左の角に寄った。くずかごを隠すためだ。
いかにワタシのようなものでも、差し上げていただいたモノを、すぐゴミ箱にポンするヤツみたら、これはいけねえってわかりますから。
瞳孔が思いっきり開いていたことだろう、そんな顔で
「シ・シスター!おられたのですか!?」
 シスタはいつものようにカラダの前で腕を組み、こちらを一定の表情でじっとご覧になってる。
「皆で一所懸命にお作りしたものです。先生、お持ちですよねー」とまるで天上から降りきたようなお声で問われた。
「な・何いってんですか、あれでしょ。カード。もってます。ええ、しまってありマス。大事に」 とワタシが水たまりから染みでてきたような声でお応えするしかなかったのです。
言いながら、ワタシは右手を精一杯背中方向にねじり、右肩を沈めながら屑籠の中をまさぐり、カードと人形を手に取ったのでありました。
「そうですか、それはよかったです、メリー・クリスマス」
今度はちゃんとシスタが全身直立不動の体勢のまま右踵を軸に180度回転、 そのままドア方向にまっすぐ歩かれ、完全に部屋を退出されるまでじっと確認したのです。
以来シスタからの頂きものとかいうようなものは絶対に捨てません。問われればすぐにでも取り出し、 お見せできるように気を使えるようようなひとになったのです。
以後ワタシのような者でも、シスタの温かい愛と微笑みにいつも見守られてある・・・と思っとります、はい。


産地直売
久々休日の晴れた昼前に車で下赤塚を出て、首都高から外環に乗り換え、浦和から東北道を北に向かいました。 第一回目の休憩で入った藤岡サービスエリアは大変な混雑。とても休む気になれず、次の都賀西方パーキングで佐野ラーメンにありついたのです。
それから、宇都宮から日光道に入って、大沢で降りました。例幣使街道で散りゆく桜の姿を惜しみながら30分ほど走ると 日帰り温泉があったので、そこで休憩をとることにいたしました。 露天に内湯にブクブクやらアッチッチの各種趣向の温泉の男湯に、数えて三人だけしか居ないという贅沢。 昼の日差しが独り占めの露天の湯面から湯底に斜めにさし、ワタシの脛をゆらゆら照らすのでした。 カラダの芯に染み入る温泉の温み。ゆっくりまったり。 昼下がりの木陰の休憩所で横になり、冷たいお茶を飲み、汗が引くまで至福の時間。 出口の産地直売所の野菜と園芸植物を見て回り、イチゴや五目ごはんなどめぼしいものを買いました。 棚に並べられた玉こんにゃくが懐かしく、これも買って帰りました。
夕食は自宅で産直野菜と鳥の鍋。イチゴをおいしくいただきました。 それから3日経った木曜日は休診日です。冷蔵庫の右上の棚に置きっぱなしになってる玉こんにゃくの袋を発見。 手に取るとだし醤油の中に30個の玉こんにゃくが浸かっている。 すこし時間が経っているので、鍋にあけて温めて食べちゃうことにしました。
だし醤油のいい香りが台所に立ち込めました。いい加減に、あったまったのを割り箸で突き刺した一個を口にしたら驚くほど旨い。
左手に鍋蓋をもったまま、コンロの前で次々に4個を立ち食い。 残りを丼に移し、お膳におきました。
新聞をみながら辛子を塗って食べたらなおさら美味い。 夕飯を食べつつまた食べ、ふたりでいつの間にかぜんぶ食べ切っていました。
だから、一人で何個食べたかよくわからんが、30個のうち18個くらいは腹に入ったはずです。 だし汁がいいから大根でも煮込んだら良いかね、なんて言うと家人が煮卵を作りますとのことだった。 ま、二人で30個の玉こんにゃくを夕方のいっときに、すっかり食べ尽くしたわけです。
玉こんにゃくは当然こんにゃくだけでできておる。 こんにゃくは低カロリー食品の代表です。胃の砂を採ってくれます。
とりわけ便通がつくことでよく知られていますね。だからだ・・・一気に18個も食べたわけだからね。 明日はスッキリ、宿便サヨナラ、ありがたいネ、などと軽く考えていたのです。
ワタシのようなモノは次の朝まで玉こんにゃくを一気食いしたことなんか覚えていられず、すっかり忘れてしまうのです。
 翌朝、いつになく腹がはるなと感じたワタシではありましたが、なんでだろなーぐらいにしか思わなかったのであります。 びろうな話ですが、階段を降りる際、廊下を曲がる刹那、新聞受けを開けるときに閉める時、事務長の顔を見たとき、 さらには廊下を歩きながら15歩毎に放屁するようなカラダにおちいっていたのです。
そのうちに、べつに体を動かしもしないのに、屁が出てしまう。こここまでくると ワタシの意思ではどうにもとめられないのです。
 変だな、なんだ?もたれとんのかなあ。朝の牛乳のせいかなあ、くらいにしか考えていなかった。
しかし、一旦仕事が始まれば、そう屁ばかりこいてはいられない立場にいるワタシです。 時間が経つほど、机に向かうワタシの下っぱらの張りが、強くはなっても弱まることがなくなっていたのです。
ちょっとした張りならば、すかし屁でごまかせはするものの、腹があまりにもくちく、苦しく、痛みで低くうめくワタシでした。
たまらず、ちょっとすんませんなどと看護婦さんに断りつつ、何食わぬ顔でトイレに入り、さっと準備。
が、便座に腰掛け、りきんでみるのだが、都度放屁1発の空打ちばかり。あとが続かず、以後の音沙汰とてなし。 どれほど腹が痛もうが、看護婦さんやら事務長の前で何事もないかのように健気に振る舞う!
張り痛む下腹を我慢しいしい、午前の仕事を終えてみれば、不思議、腹が楽になっていたのです。
喉元すぎればなんとやら。腹の不調なんかすっかり忘れたワタシなのでした。
昼の弁当なんかぜんぶ食べつくし、コーヒーをガブガブ飲み、7チャンネルの「あなたのお昼ご飯みせて」をよだれをたらしながら観ていた。 その時、あっと気づきました。
ああ、そうだ玉こんにゃくのせいだ。こんなに腹が張るのは、と。
でもそうだったらだよ、はじめから玉こんにゃく18個が連発でトビでてくるはずデス、と思ったのだ。
どんな具合にでてくるかと言えば、ワタシが思うに・・・
およそ、高橋秀樹演じる桃太郎侍が錦の装束・般若の仮面で悪家老宅にのり込んでくるくる回る際に連打される鼓の如しであろうか。
すなわち、スッポン・スポポポ、スッポン・スポンのススッポンとでて来ないとおかしいじゃないか。
それなのに、凄まじい便意に促されながらも、いざ便器に座せばウンもすんとも。空砲ばかり、主役が出で来ぬ状態。
いたずらに発する屁の空打ちが、便器の水面を波動させるのみ。仕方なし、便所でただ肛門を洗うのみにて引き下がってくるものの、 すぐまたトイレにお呼ばれされるような体たらく。
そうか、それなら、もう出るもんも出ないっていうのなら、それでいいじゃないか。ままよ、空屁こきすぎて、死んだモノとてあるまいし。 なーらば、ひとつ大胆剛毅に放っておいてみてやろうじゃねーか、玉こんにゃくの糞詰まり!
オレは、ひとり團十郎みてえに決意したのだった(成田屋さんホントーにごめんなさい!)。
ままよ、腰を据えての狼藉。水やらお茶やらコーヒーなんてえモノも飲めるだけ、がーぶがぶ飲んでやろうゼ。 そんで、あーちらの出方をうかがってェ、ア、やろうじゃねえかァ!なんてあほな考えにいたったのであった。
そうなってみると。向こうのほうも(別に意思を持ったイキモノや個人でもないのだけどネ)オレの出方を伺ってたのか、 ほんの8分後に降参したのか、激しい陣痛とともに便所に駆け込んだら・・・・。
便は便利のべん。きれいに読んだらおたよりなんです。


「花に嵐の喩えもあるぞ さよならだけが人生だ」は井伏鱒二さんの名訳。
もとが于武陵の五言絶句『勧酒』。

勧君金屈卮
満酌不須辞
花発多風雨
人生足別離

  不肖、ワタクシ訳
「きみにとっておきの酒杯にいっぱいついでさしあげる」
「これだけのお酒ですからぜんぶお飲みいただくには相当の時間がかかりましょう。それだけ長くここに居てほしいのです」
この詩の4と5行目、いくつかの名訳がありますが・・・
「花が咲いたはなが咲いたとよろこんでいるそばから皮肉な雨風が吹くからみな散ってしまったではないか
そんなことばかりだったよ わたしの人生は
分かれがたい人からどんどんはなれて行ってしまう
いつもわたしひとりのこして」
原作が20字で済ませたのをこんなに沢山冗長の言葉を費やさないと駄目だ。井伏鱒二さん、やっぱりすごい。


ドーナッツが世界を救う?
エンゼルクリームとカスタードクリームは見かけで区別しにくい。
このお菓子は多分、製造最終段階にドーナツの生地の中にクリームを注入するのだろうから、 クリームの注入孔の凹みに注目したらいいのではないか。 つまり、凹みの奥が輝く鮮烈な白色のときはホイップクリームだろうから、エンゼルクリームと思って間違いないだろう。 一方、黄色いドロッとした、さながらワタシのご幼少のみぎりに右と左の鼻孔よりわけ知らず、年余に及びまいにち休む間もなく、 溶岩の如くゆくりと上唇まで下がり降りくる黄色の粘り強きハナ汁に似て 、しかしこの場合は舐めると塩辛いが・・・・トッ、とにかく、 そういう風な黄色っぽいドロッが見えた場合は大抵カスタードクリームなのに違いないです。
ワタシはエンゼルクリームとカスタードクリームをかわりばんこに食べたい。 まず2つを軽く味わって、コーヒーを少し口に含んで、飲む。それから左右を見比べた上で、次は残りが多いカスタードを 味わう。コーヒーをはさんでエンゼルクリーム。次に水を含んでコーヒー。その際に 次はどっちから噛みつくか、あるいはチョコファッションをひと噛みするか・・・なんて迷うのが良いのだ!
単純に二種類のクリームがほしいだけなら、その目的ではコージーのジャンボシュークリームが良い。 が、噛み付いた際に、二種類のクリームがどっちも半々の割合で口の中に展開されてしまうコトがあるのだ。 その場合、味が絡み合い、それぞれの風味が消されてしまうから良くないとワタシは思っとるのだ。
したがってエンゼルクリームとカスタードクリームドーナッツを買ってくる。問題は袋を開けたときに どっちがどっちだかわからない。それで冒頭の見た目の鑑別に及んだわけです。

さて、このドーナッツ(穴がないのにドーナッツと呼ぶのか? しかし、ドーナッツ屋の商品だからドーナッツって呼んでも良いでしょう?なに、ちがうって?わかった。 たかがドーナッツ屋の食い物の・・・なんだ?「たかが」が、と言ったよ。言ったけどなんだって言うの。 別に馬鹿にしてませんよ。流れで、でてしまったの、「たかが」と。そう、つっかからないでよ、ドーナッツくらいのことで。 えっ?ドーナッツのことだからなおさらなおざりにできない?あーあそうなの。わかりました、ワタシが悪かったですぅ、ごめんなさい) を2つ食べただけでは気が済みません。チョコファッションのガリという歯ごたえが欲しい。
ちょうど金さんが片肌出してべらんめえ言っているときの、出た肩あたりにチョコレートが載っているわけ。
全体ではなくて、片肌分にチョコが塗って乾いているのがグッドなわけですよ。 そういう点、エンゼルフレンチがチョコのかかり方が似てます。が、ちがう。歯ごたえが違う。
だからオールドファッションに軍配が上がるのです。一体にフレンチ系のドーナッツは柔らかい皮のしたにクリームがはいっとる。 そういう軟弱なのがワタシは気に食わない。とは言え、作るのをやめよとはいいません。
柔らかい生地で柔らかいクリームを包んでいるそういうの好きな人が居ても良い。
個人的にやや硬めの皮をガリと噛んで割った先にじわっととろけるクリームが湧き出てくるのが好きなわけでね。
なんかね、争いが多い国の一番偉い人にはまず、うんと食べてもらいたい。
ミサイル発射命令をする前に是非将軍たちと 山盛りのドーナッツが置いてあるテーブルを囲んで食べながら攻撃するかどうかを考え直してほしい。
スイーツってそういう人にそういうときに食べてほしいね。

またまた下赤塚事変4 
 アッ、また北町三丁目西バス停になんか置いてったやつがいますよって事務長が騒いでいたから、外に出てみた。
 バス停のこっちがわにシルバーメタリックに光る、上側がだるい円錐形した目線ぐらいの高さの丸太が立っているではないか。  瞬間的にワタシは、冷凍めばちマグロだ!と思って心が踊った。
 この冷凍めばちマグロは、とくかく静立したまま固まっていた。 このモノの持ち主あるいは飼い主らしきものが居るかと思って、その場からあたりを見回しても誰もいなかった。 この場違いな、奇妙で面倒くさい置き去り状態の冷凍めばちマグロに胸騒ぎを覚える一方で、ワタシはわさびと醤油の心配もしていた。 大きな包丁も要るなあ、大皿うちにあったかなあ、など思案もしていた。
 こういう時はだな、心を落ち着けよーく観察するんだ!ってそう思った。
で、そうしたら・・・えっ? 細くて長い脚が付いているじゃないの!
ってことはこのモノ、脚で立っている・・・のか。 だとすると冷凍めばちマグロの人魚なのか?マグロの人魚って食っていいのか? 人魚であったとして、マグロの部分なら食ってもいいよな。 包丁入れたら暴れださないかな。 その時は事務長にバットで頭叩いてシメてもらえばいい。おーいジムチョー、バット持って来い。 などと、どんどん自分勝手な思考を止められなくなっていた。
どこかのウルサイ団体に注意される前に食ってしまおう、なんか文句つけられる前に。 後は分からなかった知らなかった、言われたときはもう食ってしまったあとですって 言い訳しよう。なんて、どんどんいい加減な逃げ口上ばっかり思いついた。
今、食いっぱぐれたらもう二度と・・・なんて本能的に感じていたし。
マグロの人魚発見!と、テレビ局に連絡することも頭に浮かんだ。東大の水産学部にも連絡しておくべきかな、とか。 ネクタイしてスーツ着て、ワタシが第一発見者(事務長は・・・なんとか説得して)だ、でテレビに出れるんじゃないかな?うふふ、なんて。 でも、ユーチューブで拡散したほうが儲けられるかな?なんて、 いやらしいことを想像してしまったではないか。
が、それはほんの一瞬のことです。
とにかく、結果的に冷凍めばちマグロじゃなく、セメント、ゴムやプラスチック製でもなさそうだ。 誰かの変装でもないよな。ヒトだったら何らかの動きがあるはず。
そういう生き物か?そんなの居たか。南米のチュパカブラ?じぇねーよなあ。 マサカ。そんなことないだろー。だってここ下赤塚だし・・・。
とにかく、 冷凍めばちマグロではない。大変に残念な気持ちになった。
この段階で言ってみれば、この様な不思議な生モノを、スティーブン・キング風にいえば"It"と呼ばわるべきだ。
ならば"It"は“キヲツケ”をしたままウチの前のバス停のこっち側にずっと立っている。後ろからみただけだが、"あるお方"を思い起こさせた。 "It"は、その形が"あるお方"つまり、ウルトラマンのようだった。しかし、絶対にウルトラマンであるはずがない。これは"It"である。 だってここに来てみればすぐに分かる。背が低いのだ。ちっこすぎたのだ。
じゃあ、"It"は生モノでなく、作り物で粗大ごみなのか?  フィギュア?にしてはすごく精巧で、こんなに手が込んで貴重かつ高価そうなのを、おれんちの前に置きっぱなしにする人はまずいないはず。
だから、それ以外にここに放り出される"It"はだ。たとえばイベントの着ぐるみだとしよう。着ぐるみに入る予定のやつがたまたまゆとりだったために、上司の命令に違和感かなんかを感じ、着ぐるみを脱ぎ捨てたまま帰宅してましたということも考えられた。
しかしその場合、着ぐるみってモノは中身がないとグチャッとして立っていないでしょうに。第一背中にチャックがないしね。
そうではないとしたならば、だ。マサカとは思うが、形がウルトラマン的な本物の宇宙人。たまたまここらへんでエネルギーが切れ、 動けないでいる・・・ということが考えられますゾ。ワタシの頭、変?
だとしてだな、何のエネルギーを吸い込むのですか?太陽光ですかい?電気ですか? そのうち「スイマセン電気かしてくれますか?」とかなんとか言ってくるのか。デガワさんみたいに。
コンセントとコードが見えないから電気じゃなさそう。じゃ、コンセント貸してくれって言わないな。助かります。
太陽光だったらそこに突っ立ってなさい。そのうち満充電完了!それが良いな。
まさかトヨタの水素やホンダの燃料電池だったら。長いホースで肛門から注入してくださいなんて頼まれたりして。 それも20リットル缶からパコパコで、ソイツの・・・オレ、大笑いしすぎて前かがみのまま痙攣しながら死んじゃうよ。
仮になんだか知らないけど他のエネルギーであったとします。ウチで手に入る何らかのエネルギーで良いんですか?って場合。
ワタシの血なんかだったら嫌だあ。ましてや・・・タマシイみたいなスピリチュアルなもん抜かれたら、おおいに困るかなあ。
ちょっと心配になってきた。
実際にそういう"It"が動きだす時はリセットボタンを押すんだよなあ。誰が押すんだって? どっかに押せとかのメッセージが出るのだろうか。どうしよう、メッセージ読んじゃったら?押さないでいたら恨まれるかな。 いっそのこと、物置に放り込んでおけばいいかな、光当てないで、ホースは隠して。だったらずっと動けまい・・・。
 "It"を遠巻きに無駄な時間がどんどん過ぎた。
関心は、"It"が何を考えて北町三丁目西バス停なんかで不動で立ち続けているかだった。 単なるだれかさんのいたずらだったら手が混みすぎてるんじゃないか。こんな大変ないたずらができるほどの大物の恨みを買った覚えがないですよ、ウチは。
 一回棒で突っついてみてみたいがもし、本当の宇宙的な方であったらばだ。そんなことしたらイカンに決まっておるな。 何されるかわからん。
あるいは・・・最近三回立て続けにあったことだが・・・もしかして本物さん?でもちがうなあ。
まさかあのようなお方がこんなコンパクトな形で(何でわざわざ縮んで来なければならないかわからんが、人の子供程度の大きさがなんか都合が良かったのかね)、シュワッチって来るわけないよな。呼んでもいないのに、わざわざ下赤塚まで。
宇宙地図なんてものがあったとしてだよ。
宇宙船の中で「息子よ。ほらここが、下赤塚だよ」「あ、ほんとだおとーさん、これが下赤塚なんだネ!」 なんて会話を宇宙でしてるわけないだろ!してたとして、なんの意味がある? 大学も地下資源も観光資源とかスキー場とか温泉なんかも全くないような下赤塚にね!いかん、かんひねくれた 気持ちから興奮してしまった。
そうそう、地球人で、日本人で、杉並の人であったって、下赤塚なんて知らんていう人の方が多いに違いない。まず居ないでしょうに。
いつかねーちゃんが言ってた。世田谷あたりで下赤塚知ってる?なんて言ったら恥ずかしいからネって。
雑多な思念がオレの脳裏をくるくるした。
ワタシが苦悩する一方で、事務長が小賢しくもおれの後方3メートルに離れ、掃除のモップ持って、ヘルメットまでしてやがる。 以前、スーパーマンが来たときにどこから持ってきたんだか、兜かぶってたな。 そういえば事務長、あの兜は浅間神社のお神輿の物置にあったの持ってきたんだとか・・・。
 ソイツ、何らかのエネルギーが一杯になったのかな。急にこっちの方にクルッと振り向きやがった。リセットボタンのこと?違うの、そうですかい。
エッ、今度目に入ってきたけど、こっち側ってあんたの前側なんですか?そうですか。トサカ・・・みたいな縦の板が鼻なの?  それでその両側のちょうど、目があるよなあって辺りにダチョウの卵を縦半分に切ったもののような、大きと形で、丸く盛り上がる黄色がかった白いレンズがついてるんだ。なんだが寄り目気味に丸くて黒い瞳が見えるぞ。 トサカっていうの?そういうのがちょうどオレの顔で言えば鼻だよな。その鼻が頭の三分の一下で終わってる所で口みたいだが、口でもないような横溝があるのね。 仮にだ、この溝が口ですって言われてもだな、ドジャーススタジアムで「おーたにー!」なんて叫べるようには見えんぞ?どんな時にでも大声を出せるように開かんような口だ。大体、歯医者に行けないだろ。なんか喋れるか、できんだろ?  なんて、オレの態度がだんだんぞんざいになれたのは、何と言ってもソイツおれより背が低かったからなんだネ。
 そういうわけでコイツ、なんだろウルトラマンのチビっていうか、偽もんだろなって確信した。
 だから、オレ聞いたね。「あんた誰?なにしてんの」
“ウォッ、フォッフォ”
 「え?なんて言ってるかわかんねーんだよ、お名前は?なんてーの」
オレの結構態度でっかくなってたね。
だって、顔を近づければワタシに対して小学校4年ぐらいの身長関係だったからだ。
おまけに腕が結構細いの。
“フオっフォ、フオっフォ”
 「おめえ。一体何人なの?日本語分かる」
“・・・・”
なんか何も言わなくなったな。
ほんとーにどうしたらいいのかなあ。 とりあえず此処から出てってもらおうと思った。襟首を掴みたかったが、こいつなんだろ襟なしの薄いシャツ着てるようなんだな。それで、オレはこいつを小突いてしまった。
 「あっち行って!ここに居ない。わかる?バイバイ、さようなら~」って。
そうしたらこいつ急にこっちを見て、腰をひいていきなり細―い腕をクロスさせた。
そうしたら、なんか右手の外側からぱしぱしと、なんかライターの火打ち石の火花みたいなのがでてきたんだが、それがオレまで届かないの。下に垂れてやんの。
 「バカ。おめえあぶねーやつだな、火花撒き散らすんじゃねーよ」って
オレ完全に舐めた態度で、ソイツの頭を右腕でヘッドロック。さらにオレの右膝を沈めて、体重掛けて首をひねってやった。
 ソイツ少し暴れたかな。でも力ないからオレ様が強くなったような気がした。
 しかし、傍から見たら年甲斐もなく小学生をイジメている良くないオッサンにみえるかなとかなんとか感じて、思わず力を緩めた。
なんかコイツ、どっかからピコン・ピコン・ピコンって警報音みたいな音出しはじめたな。 なんだか、勝利のゴングのように聴こえた。
気分よくなって、おいジムチョーって呼んだ。
「オイ、事務長、コイツ弱いんだぜ。お前、固め技決めてみたいだろ。オレ、見てっからヘッドロックしてみな。それっ」って、 オレをおれの暗黒面が完全支配しての狼藉。 振り返ってみると、事務長が、オレの頭のずっと上の方を指さして口をパクパクさせてんの。
 なんだろうって、指差す方をみたら 旧きらぼし銀行のビルより背が高い、 より本物のウルトラマンに違いないみたいな巨大なシルバーメタリックに輝くでっかい奴が、手のコブシを腰に当ててオレを睨みさげているではないか。
まるで、大映の大魔神に睨まれ追っかけられている悪家老みたいじゃないか。
それで、おれ。そっちのでっかい方に向かって叫んだ。ヘッドロックしたまま。
「あっ、どうも。すいません。オレじゃないんですぅ。この人いじめてるの。そういうふうに見えてますけど。違いますぅ。それというのも、うちの事務長がね・・・」



下赤塚事変 その1
 ビルのオフィスによくあるタイプの窓のブラインドってありますよね。うす緑のプラスチックの平たい板。
あるいはセミやカブトムシの胴体腹部の構造。横に薄い板が並んでるの。 あれは昨年12月3日の日曜日だった。新川越街道の北側の歩道で下赤塚駅方向にいました。 途中街道の向こう側にあるラーメン屋さんを見ていたので、何かの拍子でけっつまづいて倒れそうになった。
そこへ、黄色い手袋、それも台所のゴム手より長いのをつけた手が差し伸ばされ、危うく転倒を免れたのであった。 「大丈夫ですか」といわれたので、ええ大丈夫ですなんて答えた。ワタシはその場に正しく立ってそのひとを真正面から見た。
するとその人は、ヘルメットをしていた。それでだね。被ってるヘルメットに手のひら大の赤い紡錘形のレンズが2つ左右に斜めについてんの!
レンズの間にまさかアンテナみたいなものも。でもなんで?歩道でフルフェイスのヘルメットかぶってなさるの。 工事現場でつけてるようなのではなくて、顔が見えないの。顔が小さなブラインドで隠れてる。 ああ、それでこんな事言うとまたかよ~、お前おかしいんじゃねーのって言われるかもしれないけど、赤いマフラーして、マントしてんの。 黒いタイツはいて。ベルトの大きなバックルのなかでくるくるプロペラがまわっているようだった。
全体的にそうだね、こんなこと声出して言えないけど殿様バッタみたいなんだ。そういう格好した人、居ないよな。 ここ下赤塚だけじゃなくて、どこにも居ないよなあ。いるとすればこの辺だと大泉学園の映画の撮影所かな。
そうか!なんかの撮影でここにいるんだ。でも、このお方一人だけしか居ないようだ。と、するとつまり、アニメのオタク? それともお騒がせなお方?全体的に顔がさ、バッタみたいなの。 でもあなた、バッタみたいですね~、なんて言える?言えないでしょ?逆上してナニカされたくなんか、全くないし。 おれ、見ない顔知らない顔してそのお方の脇を通り過ぎました。
関係ない、関係ない。

連続下赤塚事変 その2
そこへ、旧川越街道の成増方面からサッサ、サッサとすごく足の速いのが来たじゃないか。
この人も変わってたんだ。おれ、アタマがおかしくなったのかなあ。胸に大きく8の字が書いてあった。 ピッタリとした何だろう、帽子なのかフード?それより潜水服みたいなの全身。
眉から下の顔は・・・普通のいい男なんだ。 でもいい男で頭がおかしいのって、怖いよ。  立ち止まらないでよ!おれんとこの前で。あっち行って、ね。カランだりしないで、ね。
エッ、どうしたのそこで立って、アタマだけこっち向けて、無表情で見てるのだけど、なんか全力疾走の格好したままなんだし。 見たところ武器は持ってないね。だけどさ、もしかしてどっかから変な光線なんか出たらやばいからな、 もうこうなったら通り過ぎるのを待つだけだな。モーな~んにも見てないから。
 あんたアタマおかしいの?そうじゃないの?だったらなんなの?エッ、正義のために・・・だって。やだなあ、 この前もそういう人来たの。あのときは警察の方が居たから・・・。なんですって?あなた警察の方?でもどーしてそんな。  事件?無いですよ、ここ下赤塚、大したことない街です。 そんなあなたみたいな立派な、ってか、そういう装束で来られるようなところじゃあないですから、ね、アハハ。



  またまた下赤塚事変 その3
嫌だなあ、電話ボックスがなんでこんなところにあるんだ。誰?うちの前に置いた奴?邪魔なんだけど。 北町三丁目西のバス停だぜ、ここ。大体、いつ持ってきたの?携帯がある今、電話ボックスなんて要らんに決まってるよ。
なんだ、なんだ?中にデカくてゴツいおっさんが居るヨ。あんた誰?何でまたこんなことしてんの?アラっ見たら背が高いね、 ガイジンだね。金髪で前髪がきれいにカールしているじゃないか。 そんなことより、なんかあんた、怒ってないから、文句もいいませんけど。できればコレ、どっかへ持ってってくんない? おれ関係ないから。誰にもいいませんから、ネ。いい、おれ見てしまったんだヨ。あんたソコに入っていたの。
それでさ、カラダがはみ出てるの。どうしてずっとこっち向いてだまっているのあんた、日本語分かる? こういうことしてはいけません。持ってって! えっ?いつも持ち歩いてますって、この電話ボックス?何言ってんの、おっさん。 わっ!でも、なんか悪くとらないで、怒らないでね。みれば異常にでっかい体育会系のカラダだからね。 別に文句言ってませんから。暴れないでね。止められなくならないで!ただ、どかしてくだされば良いのネ。 ワタシ何事もなかったことにしますからネ。ワタシなーんにも見なかったってことで。 そういう風にしましょ。とかなんとか、おれが言ってるのにオマエ!
何も聞いてないじゃないか。このオッサン、〇〇か?エッオイ。
これだけ言ってんのにオマエ!無表情で、ガラス越しで、こっち見ているんだ。出てこいよ、外で話しようじゃないか。 でも出てきたら怖いぜ。だからそのままでいいけどヨ。 で、なんだ、出てこないって?じゃあ、どーすんだよ、ってオレなりに文句言った。
そこで、このおっさん、いきなり黒縁のメガネをはずした。 それから、えー!なんで?なんでいきなりスーツを脱ぐんだヨ?オイ!黙って見てりゃあ、オッサン!ズボンも脱ぐのか?
なんだ?親父が冬に着るラクダ上下を薄青くしたようなのどっから引っ張り出してきたの?胸にでっかくSの文字。 ママがつけてくれたの?なんと!自分でですかい?
そ、それでやっぱりマントしてんだ。このテの人って。前の月光仮面もそうだった。ライダーもね。ああ、エイトマンは違ったか。 なんて言ってるオレって何をどうしたいの?わからんようになってきたけど。
オッサン、あおいラクダの上下で赤いマントして、それで長靴履いて。おれの方を見るなよ、関係ないからね。 おっさん、どうすんですかい?と思ったら、オッサンがドスドスとボックスから出てきて、唐突に「もう大丈夫、安心してください」って?なにが。 おっさんが地面蹴って、えー!空に向かってジャンプしたぞ。もう、おれ知らねえ。
どうなってんだ?下赤塚―。・・・


西新井大師の山門の前、参道の左右向かい合わせに二軒の草だんご屋があります。 右手が中田屋さんで、ひだりが清水屋さんです。参拝の道筋を左側よりにあゆめば清水屋さんの売り子さんが楊枝に刺した あんこ付きの草だんごを決断力にあふれた手付きで差し出してきます。そのご厚意をそのままうけとるのが、しきたりかなと。 知るかしらずかここでのしきたり作法に抵抗するのもいけない、と従うのです。 ちょっと立ち止まり団子を味わっているうちに、今度は団子の中にあんこを封入した新しいタイプの草だんごも強力におすすめされます。  流れで拒まずいただくのですが、なんとお茶まで薦めてくださりますので、これも拒めず、ご馳走になるのでございます。 しかし、団子というものはピーナッツやチップスのように後をひいていつの間にか一袋全部食べてしまえるようなモノではありません。だから、
団子とお茶のご厚情にお答えするためにも、草だんごの20個入りの小箱ひとつくらいは買わないと気まずくとは思うのですが、それはそれ。
頭を右方向に回して山門に向かって文字通り「何食わぬ顔」して歩き去りましょう。右肩に中田屋さんの鋭い視線を感じるけれども そのまま山門をくぐってしまいましょう。
本堂へ向かう道筋の左にイボ取りの塩地蔵。右手の手水場で手と口を清めます。そこにお立ちの地蔵菩薩さんのアタマをたわしで ゴシゴシこすって柄杓で水を流してさしあげるのですが、そういうことされているお地蔵さんご自身が、どのようにお考えになっておられるのだろうような ことはワタシにはわからんです。
が、なんとなく前からそうしてきたんだし、ね。ちょと面白くもあり、横で見ているどっかのお子さんもやりたいなーって顔してみるし。 やめられません。
またすこし行きますと、線香の煙が立ちのぼるところからこちらをじっとみる他人の視線。
たいてい写真を撮ってくれとお願いしてくるんだね。
なんでだかオレだけが選ばれるように頼まれるような気がしますね。 そこで。はい一枚・二枚、もう一枚撮りますよって、オレ、人がいいから立って一枚、しゃがんで一枚に中腰で一枚撮って やるんだね。 しかし、個人的に色んな場所で写真撮影を頼まれることが多い。西新井大師に限らず近所の氷川神社に清瀬の水天宮から京都奈良 の社寺仏閣でも、ときには通りすがりの結婚式なんかでも頼まれた。なんでかね?
なんかオレの額に写真撮ります・撮りたいですってかいてあるのか? オレってそのテの顔してんの?うちの親はそんなこと言ってなかったな。でもそうなのかな?ま、いいや。
それで参拝後に山門を出れば左の中田屋さんがこっちみる(睨まれているように感じるけど)のでまた団子1個もらって 草だんごを一箱買って帰るんだな。これってどういう因縁なのだろう?


仏罰と神罰
5年前、大晦日を宵っ張りしたはずみで、H神社の初詣を済まそうと思った。その前年は参拝者が少なかったのにその年は参道の鳥居から続く人だかり。参道の階段で四列にされて一歩一歩進むと階段を上がり切る。左手に手水舎があるが列から抜けると順番を取られると思って、清めせずすすんだ。周りの人もそうだったし。だんだん本殿に近づく。賽銭を用意しようと思って、小銭入れを開けると縦にぎっしり一円玉があった。その時500円玉も見えたし5円、10円に100円玉もあったし実際見えていた。そのとき左側に若いフカフカの襟巻きをした和装の娘さんらしき人がいることに気づいた。ふっとお賽銭にこれだけ大量の一円玉を一気に投げ入れるところを見せつけたら、まさか良いお年の紳士(?)のオレが 1円玉なんかお賽銭に使うはずがないと思うはず。したがってお隣のお嬢さんはアッ、五百円玉をあんなに沢山景気よく投げ入れる粋な方!リッチね!なんて思うんじゃないかと自分勝手に、それもお賽銭を入れる寸前にオレ思ったのね。それで勢いよく手のひらに乗るだけのⅠ円玉賽銭を投げ入れました。  お賽銭箱の構造はこっちから見て箱の左右に平たい板が取り付けてある。この板は角度違いに取り付けてあるから真ん中で左右に硬化や札が滑って底に落ちるようになっている。この板だけであると跳ね返ったり、悪い気を起こした者が賽銭をかすめたりするので、三角柱の縦棒が箱の向こうのヘリからこっちへ約1寸間隔で横木で桟になってる。桟は賽銭箱ごとこっちへ倒せば牢屋の鉄格子にあたると思う。  オレの投げ入れた一円玉の三分の一がこの桟で左右にバラバラっと軽い感じで跳ね返された。かろうじて桟をくぐり抜けれた一円玉の半分が向こう岸の板に当たってこっちへ跳ね返された。跳ね返るときのいとも軽い音にその有様をみてきっと隣のお嬢さんは、すぐオレのことを、見栄で沢山賽銭を投げて格好つけたけど、実際はケチな親父じゃん!バチ当たって賽銭突き返されてんじゃん!と気づき、多分友人なんかにそのことを言いふらしたに違いないと思った。跳ね返った一円玉を拾ってまた・・・とも考えたが一旦地面に落ちたお金を拾っていいものか分からなかった。そのまま、ガランガランして二礼二拍手合掌住所氏名職場に願い事を唱えて、一礼して参拝を終えたのだった。  その日だ、急に発熱して37.8度になったのは。  オレはすぐにこれはアマテラスのバチのせいだと悟った。薬を飲んで一晩寝たが熱が下がらなかった。どうしよう、オレは熱に浮かされた頭で考えた。アマテラスより強い神様っていないか、そうだN山のお不動さんに事情を話してアマテラスさんへのお詫びの仲介をしてもらおう、なんて熱のせいだろう、そういうことにした。  微熱があるのにオレは京成に乗ってN山に行ったのだった。電車の中でN山をお参りする前にうなぎを食べるといいらしい、なんて誰かが言うのが耳に入った。それどころではない神罰に見舞われて起きながら、しかも微熱でだるい体だ、うなぎなんかくえるはずないだろ!とおれはその意見を却下した。駅からさっさと山門の階段を登ると、このときは千円札を振る舞おうと思っていたのだ。だが、賽銭箱の前に来た途端にオレの小銭入れにいれた指先が500円玉を左端に寄せると、その右に固まった10円と5円玉を掴みだしたのだった。そのまま15円を賽銭箱に入れて、今回のアマテラスの神罰を悔やんでおります、なんとかお不動さんのお力で・・・なんて本気で拝んだね。  京成に乗って、山の手回って東上線でやっと家に帰ったら、猛烈に体調が悪くなった。このとき40度越えの熱発となった。  一晩解熱剤と感冒薬を飲んで寝て過ごしたが熱が下がらず、そのうちに7年前に亡くなった親父が、これもまた5年前に亡くなった犬を連れて迎えに来た。オレも苦しいから連れて行っておくれと夢の中で叫んでいたが、親父が本当に情けないヤツだなあって顔して消えていった。朝起きたら37.1度になっていた。まる二日喉を通らなかった胃におかゆを茶碗に一杯入れた。昼になって熱が38度を切ったのでホッとしたが、どういうわけかオレは、そうだN大師さんだ、大師さんの西隣のアパートに6年住んでいた。だから大師さんに頼めばいいんた!なんて思いついてね。女房が止めるのも全く聞き入れず、池袋からバスに乗ってN大師さんに行った。ついてすぐ山門をくぐって、参道の手水舎で手を清め、お地蔵さんの頭ゴシゴシ。今度こそは千円札一枚振る舞う気持ちで階段を上がったのです。そのとき時間よろしく護摩を炊き始めたところ、なんとありがたい時間に来たことよとオレは自分の幸運に感謝したのだった。護摩の炎がメラメラと立ち上がり、煙もモックモク、僧侶の読経の声も素晴らしくあたりに響く中、おれは賽銭箱の前に立った。その時、小銭入れに、バスの切符を買ったお釣りが有り、たまたまそれが手指に触れたので、オレは千円札が急に惜しくなってしまった。後で勘定したら38円だった。  その日オレは42度の熱を出してしまった。また夢枕に親父が立って、結構はなれて立っていて向こうからオレを憐れむように見ていた。  その年は一年間いいことがなかったです。  仏罰も神罰も心の有り様次第だが   様々に節度を知った方がいいと本気で思った。  次の年は謝罪の意味でH神社にもN田さんにも当然N大師さんでも紙幣でお賽銭したのでした。その年は平穏に過ぎました。






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