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医療は知識に経験が加わってこそ

【最近の耄言】
どうせ耄碌医者の無責任な放言です  賢き人は素通りおねがいたてまつります


今までの私の生涯には、晴れた日も曇った日もあった
けれども、すべては自分のためになったのである
アンデルセン/デンマーク/童話作家



私事ながら正月休みに自分の右頬の黒い老人性疣贅と襟首まわりのイボをとってもらいました。
新型のレーザー治療。
写真のような右頬の5つの老人性疣贅・脂漏性角化症。そのうち1つが大きく根が深かった。
これをレーザーでとって、2週間は赤ムケ。どうなることやらと思ったけれど、結構きれいになりました。
コスメ医療なんて!って思ってましたが、こんなにキタナイモノが顔にあったなんて。
全然痛みもなかったし、心理的にとってもらってよかったです。
今度は"土台"の広い染みが気になってきた〜
イボ・ほくろとり希望の方が居られましたら受付までお申し込みください。

日本形成外科学会が認めた医療研修施設で研修し専門医認定試験に合格した者が形成外科専門医。
顔を含め頭の先から足の先までの形成外科トレーニングを受けた医師だそうです。
さらに形成外科専門医で日本美容外科学会の審査に 合格した医師が日本美容外科学会専門医ですって。


ドーナッツが世界を救う?
エンゼルクリームとカスタードクリームは見かけで区別しにくい。
このお菓子は多分、製造最終段階にドーナツの生地の中にクリームを注入するのだろうから、 クリームの注入孔の凹みに注目したらいいのではないか。 つまり、凹みの奥が輝く鮮烈な白色のときはホイップクリームだろうから、エンゼルクリームと思って間違いないだろう。 一方、黄色いドロッとした、さながらワタシのご幼少のみぎりに右と左の鼻孔よりわけ知らず、年余に及びまいにち休む間もなく、 溶岩の如くゆくりと上唇まで下がり降りくる黄色の粘り強きハナ汁に似て 、しかしこの場合は舐めると塩辛いが・・・・トッ、とにかく、 そういう風な黄色っぽいドロッが見えた場合は大抵カスタードクリームなのに違いないです。
ワタシはエンゼルクリームとカスタードクリームをかわりばんこに食べたい。 まず2つを軽く味わって、コーヒーを少し口に含んで、飲む。それから左右を見比べた上で、次は残りが多いカスタードを 味わう。コーヒーをはさんでエンゼルクリーム。次に水を含んでコーヒー。その際に 次はどっちから噛みつくか、あるいはチョコファッションをひと噛みするか・・・なんて迷うのが良いのだ!
単純に二種類のクリームがほしいだけなら、その目的ではコージーのジャンボシュークリームが良い。 が、噛み付いた際に、二種類のクリームがどっちも半々の割合で口の中に展開されてしまうコトがあるのだ。 その場合、味が絡み合い、それぞれの風味が消されてしまうから良くないとワタシは思っとるのだ。
したがってエンゼルクリームとカスタードクリームドーナッツを買ってくる。問題は袋を開けたときに どっちがどっちだかわからない。それで冒頭の見た目の鑑別に及んだわけです。

さて、このドーナッツ(穴がないのにドーナッツと呼ぶのか? しかし、ドーナッツ屋の商品だからドーナッツって呼んでも良いでしょう?なに、ちがうって?わかった。 たかがドーナッツ屋の食い物の・・・なんだ?「たかが」が、と言ったよ。言ったけどなんだって言うの。 別に馬鹿にしてませんよ。流れで、でてしまったの、「たかが」と。そう、つっかからないでよ、ドーナッツくらいのことで。 えっ?ドーナッツのことだからなおさらなおざりにできない?あーあそうなの。わかりました、ワタシが悪かったですぅ、ごめんなさい) を2つ食べただけでは気が済みません。チョコファッションのガリという歯ごたえが欲しい。
ちょうど金さんが片肌出してべらんめえ言っているときの、出た肩あたりにチョコレートが載っているわけ。
全体ではなくて、片肌分にチョコが塗って乾いているのがグッドなわけですよ。 そういう点、エンゼルフレンチがチョコのかかり方が似てます。が、ちがう。歯ごたえが違う。
だからオールドファッションに軍配が上がるのです。一体にフレンチ系のドーナッツは柔らかい皮のしたにクリームがはいっとる。 そういう軟弱なのがワタシは気に食わない。とは言え、作るのをやめよとはいいません。
柔らかい生地で柔らかいクリームを包んでいるそういうの好きな人が居ても良い。
個人的にやや硬めの皮をガリと噛んで割った先にじわっととろけるクリームが湧き出てくるのが好きなわけでね。
なんかね、争いが多い国の一番偉い人にはまず、うんと食べてもらいたい。
ミサイル発射命令をする前に是非将軍たちと 山盛りのドーナッツが置いてあるテーブルを囲んで食べながら攻撃するかどうかを考え直してほしい。
スイーツってそういう人にそういうときに食べてほしいね。

またまた下赤塚事変 

 アッ、また北町三丁目西バス停になんか置いてったやつがいますよって事務長が騒いでいたから、外に出てみた。
 バス停のこっちがわにシルバーメタリックに光る、上側がだるい円錐形した目線ぐらいの高さの丸太が立っているではないか。  瞬間的にワタシは、冷凍めばちマグロだ!と思って心が踊った。
 この冷凍めばちマグロは、とくかく静立したまま固まっていた。 このモノの持ち主あるいは飼い主らしきものが居るかと思って、その場からあたりを見回しても誰もいなかった。 この場違いな、奇妙で面倒くさい置き去り状態の冷凍めばちマグロに胸騒ぎを覚える一方で、ワタシはわさびと醤油の心配もしていた。 大きな包丁も要るなあ、大皿うちにあったかなあ、など思案もしていた。
 こういう時はだな、心を落ち着けよーく観察するんだ!ってそう思った。
で、そうしたら・・・えっ? 細くて長い脚が付いているじゃないの!
ってことはこのモノ、脚で立っている・・・のか。 だとすると冷凍めばちマグロの人魚なのか?マグロの人魚って食っていいのか? 人魚であったとして、マグロの部分なら食ってもいいよな。 包丁入れたら暴れださないかな。 その時は事務長にバットで頭叩いてシメてもらえばいい。おーいジムチョー、バット持って来い。 などと、どんどん自分勝手な思考を止められなくなっていた。
どこかのウルサイ団体に注意される前に食ってしまおう、なんか文句つけられる前に。 後は分からなかった知らなかった、言われたときはもう食ってしまったあとですって 言い訳しよう。なんて、どんどんいい加減な逃げ口上ばっかり思いついた。
今、食いっぱぐれたらもう二度と・・・なんて本能的に感じていたし。
マグロの人魚発見!と、テレビ局に連絡することも頭に浮かんだ。東大の水産学部にも連絡しておくべきかな、とか。 ネクタイしてスーツ着て、ワタシが第一発見者(事務長は・・・なんとか説得して)だ、でテレビに出れるんじゃないかな?うふふ、なんて。 でも、ユーチューブで拡散したほうが儲けられるかな?なんて、 いやらしいことを想像してしまったではないか。
が、それはほんの一瞬のことです。
とにかく、結果的に冷凍めばちマグロじゃなく、セメント、ゴムやプラスチック製でもなさそうだ。 誰かの変装でもないよな。ヒトだったら何らかの動きがあるはず。
そういう生き物か?そんなの居たか。南米のチュパカブラ?じぇねーよなあ。 マサカ。そんなことないだろー。だってここ下赤塚だし・・・。
とにかく、 冷凍めばちマグロではない。大変に残念な気持ちになった。
この段階で言ってみれば、この様な不思議な生モノを、スティーブン・キング風にいえば"It"と呼ばわるべきだ。
ならば"It"は“キヲツケ”をしたままウチの前のバス停のこっち側にずっと立っている。後ろからみただけだが、"あるお方"を思い起こさせた。 "It"は、その形が"あるお方"つまり、ウルトラマンのようだった。しかし、絶対にウルトラマンであるはずがない。これは"It"である。 だってここに来てみればすぐに分かる。背が低いのだ。ちっこすぎたのだ。
じゃあ、"It"は生モノでなく、作り物で粗大ごみなのか?  フィギュア?にしてはすごく精巧で、こんなに手が込んで貴重かつ高価そうなのを、おれんちの前に置きっぱなしにする人はまずいないはず。
だから、それ以外にここに放り出される"It"はだ。たとえばイベントの着ぐるみだとしよう。着ぐるみに入る予定のやつがたまたまゆとりだったために、上司の命令に違和感かなんかを感じ、着ぐるみを脱ぎ捨てたまま帰宅してましたということも考えられた。
しかしその場合、着ぐるみってモノは中身がないとグチャッとして立っていないでしょうに。第一背中にチャックがないしね。
そうことでもないとしたならばだ、マサカとは思うが。形がウルトラマン的な本物の宇宙人。たまたまここらへんでエネルギーが切れ、 動けないでいる・・・ということが考えられますゾ。ワタシの頭、変?
だとしてだな、何のエネルギーを吸い込むのですか?太陽光ですかい?電気ですか? そのうち「スイマセン電気かしてくれますか?」とかなんとか言ってくるのか。デガワさんみたいに。
コンセントとコードが見えないから電気じゃなさそう。じゃ、コンセント貸してくれって言わないな。助かります。
太陽光だったらそこに突っ立ってなさい。そのうち満充電完了!それが良いな。
まさかトヨタの水素やホンダの燃料電池だったら。長いホースで肛門から注入してくださいなんて頼まれたりして。 それも20リットル缶からパコパコで、ソイツの・・・オレ、大笑いしすぎて前かがみのまま痙攣しながら死んじゃうよ。
仮になんだか知らないけど他のエネルギーであったとします。ウチで手に入る何らかのエネルギーで良いんですか?って場合。
ワタシの血なんかだったら嫌だあ。ましてや・・・タマシイみたいなスピリチュアルなもん抜かれたら、おおいに困るかなあ。
ちょっと心配になってきた。
実際にそういう"It"が動きだす時はリセットボタンを押すんだよなあ。誰が押すんだって? どっかに押せとかのメッセージが出るのだろうか。どうしよう、メッセージ読んじゃったら?押さないでいたら恨まれるかな。 いっそのこと、物置に放り込んでおけばいいかな、光当てないで、ホースは隠して。だったらずっと動けまい・・・。
 "It"を遠巻きに無駄な時間がどんどん過ぎた。
関心は、"It"が何を考えて北町三丁目西バス停なんかで不動で立ち続けているかだった。 単なるだれかさんのいたずらだったら手が混みすぎてるんじゃないか。こんな大変ないたずらができるほどの大物の恨みを買った覚えがないですよ、ウチは。
 一回棒で突っついてみてみたいがもし、本当の宇宙的な方であったらばだ。そんなことしたらイカンに決まっておるな。 何されるかわからん。
あるいは・・・最近三回立て続けにあったことだが・・・もしかして本物さん?でもちがうなあ。
まさかあのようなお方がこんなコンパクトな形で(何でわざわざ縮んで来なければならないかわからんが、人の子供程度の大きさがなんか都合が良かったのかね)、シュワッチって来るわけないよな。呼んでもいないのに、わざわざ下赤塚まで。
宇宙地図なんてものがあったとしてだよ。
宇宙船の中で「息子よ。ほらここが、下赤塚だよ」「あ、ほんとだおとーさん、これが下赤塚なんだネ!」 なんて会話を宇宙でしてるわけないだろ!してたとして、なんの意味がある? 大学も地下資源も観光資源とかスキー場とか温泉なんかも全くないような下赤塚にね!いかん、かんひねくれた 気持ちから興奮してしまった。
そうそう、地球人で、日本人で、杉並の人であったって、下赤塚なんて知らんていう人の方が多いに違いない。まず居ないでしょうに。
いつかねーちゃんが言ってた。世田谷あたりで下赤塚知ってる?なんて言ったら恥ずかしいからネって。
じゃなかったら、このあたりにハヤタって名の人いた?会ったこと無いよね。だいたい科特隊がまさか北町三丁目にあるわけないしな。
なんて雑多な思念がオレの脳裏をくるくるしていた。
ワタシが苦悩している一方で、事務長が小賢しくもおれの後方3メートルに離れ、掃除のモップ持って、ヘルメットまでしてやがる。 以前、スーパーマンが来たときにどこから持ってきたんだか、兜かぶってたな。 そういえば事務長、あの兜は浅間神社のお神輿の物置にあったの持ってきたんだとか・・・。
 ソイツ、何らかのエネルギーが一杯になったのかな。急にこっちの方にクルッと振り向きやがった。リセットボタンのこと?違うの、そうですかい。
エッ、今度目に入ってきたけど、こっち側ってあんたの前側なんですか?そうですか。トサカ・・・みたいな縦の板が鼻なの?  それでその両側のちょうど、目があるよなあって辺りにダチョウの卵を縦半分に切ったもののような、大きと形で、丸く盛り上がる黄色がかった白いレンズがついてるんだ。なんだが寄り目気味に丸くて黒い瞳が見えるぞ。 トサカっていうの?そういうのがちょうどオレの顔で言えば鼻だよな。その鼻が頭の三分の一下で終わってる所で口みたいだが、口でもないような横溝があるのね。 仮にだ、この溝が口ですって言われてもだな、ドジャーススタジアムで「おーたにー!」なんて叫べるようには見えんぞ?どんな時にでも大声を出せるように開かんような口だ。大体、歯医者に行けないだろ。なんか喋れるか、できんだろ?  なんて、オレの態度がだんだんぞんざいになれたのは、何と言ってもソイツおれより背が低かったからなんだネ。
 そういうわけでコイツ、なんだろウルトラマンのチビっていうか、偽もんだろなって確信した。
 だから、オレ聞いたね。「あんた誰?なにしてんの」
“ウォッ、フォッフォ”
 「え?なんて言ってるかわかんねーんだよ、お名前は?なんてーの」
オレの結構態度でっかくなってたね。
だって、顔を近づければワタシに対して小学校4年ぐらいの身長関係だったからだ。
おまけに腕が結構細いの。
“フオっフォ、フオっフォ”
 「おめえ。一体何人なの?日本語分かる」
“・・・・”
なんか何も言わなくなったな。
ほんとーにどうしたらいいのかなあ。 とりあえず此処から出てってもらおうと思った。襟首を掴みたかったが、こいつなんだろ襟なしの薄いシャツ着てるようなんだな。それで、オレはこいつを小突いてしまった。
 「あっち行って!ここに居ない。わかる?バイバイ、さようなら〜」って。
そうしたらこいつ急にこっちを見て、腰をひいていきなり細―い腕をクロスさせた。
そうしたら、なんか右手の外側からぱしぱしと、なんかライターの火打ち石の火花みたいなのがでてきたんだが、それがオレまで届かないの。下に垂れてやんの。
 「バカ。おめえあぶねーやつだな、火花撒き散らすんじゃねーよ」って
オレ完全に舐めた態度で、ソイツの頭を右腕でヘッドロック。さらにオレの右膝を沈めて、体重掛けて首をひねってやった。
 ソイツ少し暴れたかな。でも力ないからオレ様が強くなったような気がした。
 しかし、傍から見たら年甲斐もなく小学生をイジメている良くないオッサンにみえるかなとかなんとか感じて、思わず力を緩めた。
なんかコイツ、どっかからピコン・ピコン・ピコンって警報音みたいな音出しはじめたな。 なんだか、勝利のゴングのように聴こえた。
気分よくなって、おいジムチョーって呼んだ。
「オイ、事務長、コイツ弱いんだぜ。お前、固め技決めてみたいだろ。オレ、見てっからヘッドロックしてみな。それっ」って、オレをおれの暗黒面が完全支配しての狼藉。 振り返ってみると、事務長が、オレの頭のずっと上の方を指さして口をパクパクさせてんの。
 なんだろうって、指差す方をみたら 旧きらぼし銀行のビルより背が高い、より本物のウルトラマンに違いないみたいな巨大なシルバーメタリックに輝くでっかい奴が、腰に腕当ててオレを睨みさげているではないか。
まるで、大映の大魔神に睨まれ追っかけられている悪家老みたいじゃないか。
それで、おれ。そっちのでっかい方に向かって叫んだ。ヘッドロックしたまま。
「あっ、どうも。すいません。オレじゃないんですぅ。この人いじめてるの。そういうふうに見えてますけど。違いますぅ。それというのも、うちの事務長がね・・・」


【月光仮面?】
 板橋区と練馬区の区境で旧川越街道は新川越街道に合流する。その手前100mの旧川越街道側に「北町三丁目西」バス停留所がある。 ある日、池袋方向から旧川越街道を法定速度でやってきた白いスズキのバイクが赤信号で止まった。北町三丁目西停留所の6メートル先だった。 その乗り手の風体がちょっとというか全身が変わっていた。どこでこういうの買えるの? 仮に売っていたとしても、オレなんか絶対買わないぞと思うような、真っ白いブーツ履いてた。 この白ブーツの右靴底がフットレストの上で正しくブレーキングしていた。左白ブーツ側の足は正しく接地していた。
彼か彼女かわからんが、多分彼であろうその者が真っ白なレザーグラブをしてブレーキレバーをしっかり握しめていた。 さながら大型バイクの停車の仕方のお手本だった。背筋まっすぐ。元バリバリ交機が教習所教官に転職したような。
しかしこのお方、表地が真っ白で裏地が黒のマントをしていたんだ。マントは風に翻える。 それで・・・、白いマスクに耳まで覆った白いジェット型ヘルメット。サングラスとその上に見える眉毛が真っ黒。 ピッチリした長袖のシャツも真っ白。引き締まった腹部に黒ベルト。当然、タイツも真っ白。要するにそうです。見たまんま。 あのお方のようだった。どこの誰だか知らないけれど誰もがみんな知っている、あのお方のようだった。 そのオジサン(多分)がオレのそばの交差点で一時停止しているんだ。 まさか、下赤塚でこのようなお方にお会いできるなんて!うふふ、変な笑いが込み上げて止まらん。
だが、すぐ目の前にいるこのお方が、もしや単におかしなオジサンだったらば、だ。 変に刺激したらおこられるくらいじゃすまないだろう。オレみたいなのが相手でも、見さかい無いだろうから、ひどいいたずらされたりするかも。
だから、笑うのを必死でこらえてた。じゃ、もしほんとにそのお方であったなら。笑っていいのだろうか。そうじゃないだろ。 でも考えてみろ。大きなマント以外、なにか法規に触れているか?といえばそんなことは全くない。 おかしなオジサンと決めつけるにはきちんとし過ぎていた。害を与える雰囲気もなかった。 だから、なんかの際にこういう方とお知り合いになっておけば、何かと助かるような気もしてくるではないか。 しかし、現実的にかつ常識的に、だ。誰でも知っているあのお方がだ。北町なんかに来るはずがないでしょう。 とにかくこんな状況で笑いは良くないと私は感じていた。
だが、間が悪く、そこへパトカーが来てしまったんだね。
想像した通り、パトカーは彼をみて止まったようだった。信号は赤。 だからというだけではなくパトカー(というよりおまわりさん)は何かを感じて止まったのに違いなかったのだ。 助手席のおまわりさんが、左の窓を通して白いバイクに白いマフラとマントに上下カラダにピッチリの白装束のバイク乗りを上から下、また下から上へじっとみた。
そのうえで考えてたと思う。多分、心のなかで「ああ、この人はあの方?でも、いるわけないからね。 誰もがみんな知っているあの方の、真似する○○かな。ほんとにいるわけないもん。げっこうかめんって。 でも現実眼の前にいるのは、その方のように見えるんだ。ホンモノの正義の味方がそうそう下赤塚なんかに出没しませんよ。 本物ならば活躍する場所ってここではないでしょ」と瞬間的に考えたはず。 この間、オレ、白いオジサンの左後ろで立ちっぱなし。パトカーがやってきたのを見て、ほっとけないです。 いわば一等席ですから。ワタシが思うにこの方、99.9%あの方の真似している、目立ちたがり屋のどっかのオッサンであるはず。本物ではないはずです。
 信号が割と長くて、これまでの瞬間が長く感じられました。パトカーの助手席の窓がすーっと開きます。オレ、多分そうなるし、こうも言うなと思ったのね。

おまわりさん「ちょっとすいません、お聞きしていいですか」オレ、ホント爆笑したくなったけど我慢したよ。
「なにされてるんですか?」っておまわりさん聞くよなって。思った通り。
 白いオジサン「は?なんでしょう」そうかえすわな、多分。
 おまわりさん「どこへゆかれます?」
 オジサン「自宅へ」
 おまわりさん「申し訳ありませんがお聞きしたいことがあります、青になってから交差点に入って新道の方で左路肩に停車してお待ちいただけないでしょうか」と言ったね。 オレ絶対このあと面白くなると思って、信号青でゆっくり渡ってこのオジサンのバイクから3m離れたあたりで立ってなりゆきを期待してみていた。 ま、この時点で他に5人、8人から15人、色んな人が立ち止まりはじめていたけど。
 おまわりさん「すみません。免許証を見せていただきませんか」
 オジサン「ハイ、よろしいです。どうぞ」正義の味方だからね、さっときれいな免許証をさし出した。
 おまわりさん「ご苦労さまです、ありがとうございました。はー、イワイ・・・ジュウロウさん・・・ですね。月とか光ではなくって、ですね。いつもこんな?」
そう聞こえてきて、おれも難しいよな、この局面でズバリその人ですかって切り出せないもん、と思った。
 オジサン「そうです祝十朗と申します。え?いつもこんなって、ここ通るかってことですか?今日はたまたまこちらを通ったまでです」
おまわりさん「どうもすみません。そうですか、それでいつもこのようなオキモノで?」
オジサン「時と場合によります」
おまわりさん「ああ、そうですか、どうもすみません、普段はそうじゃない、と。ようするにこういう感じではないの、ね」
おまわりさんが不満げになにかケチを付ける点もみつからなかった免許証を返した。
オジサン「ま、たいていこのような出で立ちで外出しますが、病院やお役所に銀行や駅など公共施設および交通機関内では、つまりオートバイに乗っていない時はちがいますね」
おまわりさん「そ、それはご苦労さまです。なんかイベントとかで?」
オジサン「イベントですか?別に行くような要件はありませんねえ」
おまわりさん「ハロウィーンの渋谷とか?・・・すいません」
オジサン「よろしいですか、そろそろワタシもゆかねばならないのです」
おまわりさん「えっ?チョ、ちょっとまってくだい、あのー申し訳ありませんが」
オジサン「なんですワタシもそうそうここにいつまでも居られません」
おまわりさん「・・・・・」
そこへパトカーの運転席のおまわりさんが車をパーキングにしっかり入れて、停止板をおいてから、なんか首降って面倒くさそうな感じでやってきた。
運転席のおまわりさんが「月光仮面さんでしょ?」ズバリ聞いたね。
オレ、ドキドキした。 オジサン「そう呼ぶ方もいるでしょう」きっぱりと正しい標準語のイントネーションだった。
運転席のおまわりさん「うーーーん、そうですか・・・・月光仮面さんですか・・・えーと」 といって苦渋の顔して助手席のおまわりさんに視線を送って、なんか助けろって感じ。 おまわりさん「え、と。どこへ・・・あ、そうか自宅ですね、そこへ帰るところですか、ご苦労さまです」
バカヤロウそんなこと言ったってしょうもないって顔の運転席側のおまわりさん。
そこへ、下赤塚在住のお気楽男の刈り上げ頭で、ハの字のうっすら眉毛に耳に長い毛が生えて、赤い鼻、ふるーい股間が変色しはじめたパジャマを履いた、 ムーミンのTシャツダブダブ着た「しもたがや」さんが「おっ、月光仮面だ!すっげえ」って言った。
馬鹿モン!こんな時に景気つけるような脳天気なこといいやがってこの馬鹿男!この白装束、 もしかしたら頭おかしい奴かもしれんからこんなに気をつかいながら職質しているんだ。
こんな馬鹿にへんな茶々入れられて!ってふうに運転席側のおまわりさんの顔が苦悶で真っ赤に膨れ上がった。 それなのに、しもたがやさんの後ろの近所の悪ガキが「月光仮面じゃん!ピストルもってる?」って、大きな声だした。
野次馬が月光仮面だ、そうだそうだとさわぎはじめた。
運転席側のおまわりさん、歯をバッキバキいわせるほど噛み締め怒鳴り散らすのを我慢して、 力みながら右手でげんこつを勢いよく上から下におろしたが、振り下ろしどころが悪かったな。パトカーの左ドアミラーを殴って折ってしまった。
ミラーが大衆の沈黙の中でブランブランしていた。 運転席側のおまわりさん、責任を感じて外れたミラーを一応元の外れた場所にくっつけてみた。 が、くっつくわけがなかった。手をはなしたそばからミラーがまたブラーンぶらんゆれた。
そのミラーをもちながら 「セメダインなんかもってない?ですか・ね?」運転席側のおまわりさんが恥ずかしそうに言ってた。


下赤塚事変 その1
 ビルのオフィスによくあるタイプの窓のブラインドってありますよね。うす緑のプラスチックの平たい板。
あるいはセミやカブトムシの胴体腹部の構造。横に薄い板が並んでるの。 あれは昨年12月3日の日曜日だった。新川越街道の北側の歩道で下赤塚駅方向にいました。 途中街道の向こう側にあるラーメン屋さんを見ていたので、何かの拍子でけっつまづいて倒れそうになった。
そこへ、黄色い手袋、それも台所のゴム手より長いのをつけた手が差し伸ばされ、危うく転倒を免れたのであった。 「大丈夫ですか」といわれたので、ええ大丈夫ですなんて答えた。ワタシはその場に正しく立ってそのひとを真正面から見た。
するとその人は、ヘルメットをしていた。それでだね。被ってるヘルメットに手のひら大の赤い紡錘形のレンズが2つ左右に斜めについてんの!
レンズの間にまさかアンテナみたいなものも。でもなんで?歩道でフルフェイスのヘルメットかぶってなさるの。 工事現場でつけてるようなのではなくて、顔が見えないの。顔が小さなブラインドで隠れてる。 ああ、それでこんな事言うとまたかよ〜、お前おかしいんじゃねーのって言われるかもしれないけど、赤いマフラーして、マントしてんの。 黒いタイツはいて。ベルトの大きなバックルのなかでくるくるプロペラがまわっているようだった。
全体的にそうだね、こんなこと声出して言えないけど殿様バッタみたいなんだ。そういう格好した人、居ないよな。 ここ下赤塚だけじゃなくて、どこにも居ないよなあ。いるとすればこの辺だと大泉学園の映画の撮影所かな。
そうか!なんかの撮影でここにいるんだ。でも、このお方一人だけしか居ないようだ。と、するとつまり、アニメのオタク? それともお騒がせなお方?全体的に顔がさ、バッタみたいなの。 でもあなた、バッタみたいですね〜、なんて言える?言えないでしょ?逆上してナニカされたくなんか、全くないし。 おれ、見ない顔知らない顔してそのお方の脇を通り過ぎました。
関係ない、関係ない。

連続下赤塚事変 その2
そこへ、旧川越街道の成増方面からサッサ、サッサとすごく足の速いのが来たじゃないか。
この人も変わってたんだ。おれ、アタマがおかしくなったのかなあ。胸に大きく8の字が書いてあった。 ピッタリとした何だろう、帽子なのかフード?それより潜水服みたいなの全身。
眉から下の顔は・・・普通のいい男なんだ。 でもいい男で頭がおかしいのって、怖いよ。  立ち止まらないでよ!おれんとこの前で。あっち行って、ね。カランだりしないで、ね。
エッ、どうしたのそこで立って、アタマだけこっち向けて、無表情で見てるのだけど、なんか全力疾走の格好したままなんだし。 見たところ武器は持ってないね。だけどさ、もしかしてどっかから変な光線なんか出たらやばいからな、 もうこうなったら通り過ぎるのを待つだけだな。モーな〜んにも見てないから。
 あんたアタマおかしいの?そうじゃないの?だったらなんなの?エッ、正義のために・・・だって。やだなあ、 この前もそういう人来たの。あのときは警察の方が居たから・・・。なんですって?あなた警察の方?でもどーしてそんな。  事件?無いですよ、ここ下赤塚、大したことない街です。 そんなあなたみたいな立派な、ってか、そういう装束で来られるようなところじゃあないですから、ね、アハハ。



  またまた下赤塚事変 その3
嫌だなあ、電話ボックスがなんでこんなところにあるんだ。誰?うちの前に置いた奴?邪魔なんだけど。 北町三丁目西のバス停だぜ、ここ。大体、いつ持ってきたの?携帯がある今、電話ボックスなんて要らんに決まってるよ。
なんだ、なんだ?中にデカくてゴツいおっさんが居るヨ。あんた誰?何でまたこんなことしてんの?アラっ見たら背が高いね、 ガイジンだね。金髪で前髪がきれいにカールしているじゃないか。 そんなことより、なんかあんた、怒ってないから、文句もいいませんけど。できればコレ、どっかへ持ってってくんない? おれ関係ないから。誰にもいいませんから、ネ。いい、おれ見てしまったんだヨ。あんたソコに入っていたの。
それでさ、カラダがはみ出てるの。どうしてずっとこっち向いてだまっているのあんた、日本語分かる? こういうことしてはいけません。持ってって! えっ?いつも持ち歩いてますって、この電話ボックス?何言ってんの、おっさん。 わっ!でも、なんか悪くとらないで、怒らないでね。みれば異常にでっかい体育会系のカラダだからね。 別に文句言ってませんから。暴れないでね。止められなくならないで!ただ、どかしてくだされば良いのネ。 ワタシ何事もなかったことにしますからネ。ワタシなーんにも見なかったってことで。 そういう風にしましょ。とかなんとか、おれが言ってるのにオマエ!
何も聞いてないじゃないか。このオッサン、〇〇か?エッオイ。
これだけ言ってんのにオマエ!無表情で、ガラス越しで、こっち見ているんだ。出てこいよ、外で話しようじゃないか。 でも出てきたら怖いぜ。だからそのままでいいけどヨ。 で、なんだ、出てこないって?じゃあ、どーすんだよ、ってオレなりに文句言った。
そこで、このおっさん、いきなり黒縁のメガネをはずした。 それから、えー!なんで?なんでいきなりスーツを脱ぐんだヨ?オイ!黙って見てりゃあ、オッサン!ズボンも脱ぐのか?
なんだ?親父が冬に着るラクダ上下を薄青くしたようなのどっから引っ張り出してきたの?胸にでっかくSの文字。 ママがつけてくれたの?なんと!自分でですかい?
そ、それでやっぱりマントしてんだ。このテの人って。前の月光仮面もそうだった。ライダーもね。ああ、エイトマンは違ったか。 なんて言ってるオレって何をどうしたいの?わからんようになってきたけど。
オッサン、あおいラクダの上下で赤いマントして、それで長靴履いて。おれの方を見るなよ、関係ないからね。 おっさん、どうすんですかい?と思ったら、オッサンがドスドスとボックスから出てきて、唐突に「もう大丈夫、安心してください」って?なにが。 おっさんが地面蹴って、えー!空に向かってジャンプしたぞ。もう、おれ知らねえ。
どうなってんだ?下赤塚―。・・・

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